1 公務員の採用と有罪判決
国家公務員の場合、「国家公務員法」という法律に国家公務員となれない人が定められています。
第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
三 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
四 人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第百九条から第百十二条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
五 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」とありますので、例えば、次のような場合には国家公務員になることはできません。
「懲役1年」という有罪判決を受けた方の場合、1年間刑務所に入ってもらうという実刑判決ですから、その1年間の刑期が満了するまでは国家公務員になることができません。
次に、「懲役2年、執行猶予3年」という有罪判決を受けた方の場合、執行猶予の期間である3年の期間が終わるまでは国家公務員になることはできません。
また、地方公務員の場合、「地方公務員法」という法律に地方公務員となれない人が定められています。
第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
三 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
四 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
五 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
地方公務員の場合も、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」とありますので、国家公務員の場合と同様に考えることができます。
2 有罪判決と公務員身分の喪失
一度公務員に採用されたとしても、その後に有罪の判決を受けた場合、公務員の身分を喪失する場合があります。
国家公務員の場合は、次のような規定があります。
第七十六条 職員が第三十八条各号の一に該当するに至つたときは、人事院規則に定める場合を除いては、当然失職する。
「第三十八条各号の一」という要件に、先ほど示した国家公務員法38条2号が当たるので、職を失うことになります。
地方公務員についても、地方公務員法28条4項に同様の規定があるので職を失うことになります。
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