少年事件の処分

少年事件では、捜査が終わると事件が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所の少年審判を経て少年への処分が決められます。少年への処分については、大きく分けて、不処分、保護観察、少年院送致、その他施設送致、試験観察、検察官送致などがあります。以下では、これらの少年事件特有の処分について解説いたします。

 

1 不処分

不処分の決定が出されるのは、①保護処分にすることができない場合か②保護処分にすることは可能であるが、保護処分する必要がない場合のいずれかです。

  1. 保護処分にすることができない場合に当たるのは、例えば、非行事実が実際にあったのか、非行事実を行なったのが少年なのかなどといった点に疑問が残る場合です。
  2. 保護処分にすることは可能であるが、保護処分する必要がない場合に当たるのは、例えば、審判までの間に、少年の心身の状態や、性格、家庭環境などの非行少年が持つ問題性が解消された場合です。より具体的には、弁護士と少年や家族が話合い、ボランティア活動などの取り組みを行う中で、問題点が解消された場合などが当たります。

 

2 保護観察

保護観察とは、対象となる少年を施設に収容することなく、社会の中で通常の生活を営ませながら、少年の更生を目指す処分です。

保護観察がとられた場合、通常、保護観察官と保護司という2人が協力して行われます。

まず、保護観察官が少年とはじめに面接するなどして保護観察の実施計画を立てます。

その後は、その実施計画に従い、保護司が少年と面接するなどして、少年の指導を行います。

保護司は、保護観察官に対して、月に1度、経過報告をします。必要があれば、保護観察官から保護司に指示があったり、保護観察官が直接少年と面談したりします。

保護観察は、原則として対象となる少年が20歳になるまで行われます。もっとも、例えば保護観察の処分を受けた少年が19歳だった場合のように、保護観察にするとの決定がされてからの期間が2年に満たない場合には2年となります。

しかし、絶対に20歳になるまで行われるわけではなく、成績良好等により保護観察を継続する必要がなくなったと判断した場合には、保護観察が解除されることがあります。

ただし,処分時に18歳・19歳の少年(特定少年)については,6ヶ月間か2年間かのいずれかとなります。

 

3 少年院送致

少年院とは、成人の刑務所に対応するもので、少年の身柄を拘束する施設です。

ただ、刑務所と異なり、少年の教育を目的としていますから、どちらかというと学校に近い側面があります。

少年院に収容する期間は、審判の際の処遇勧告でおおよその目安が決められます。成人の裁判と異なり、懲役〇年ときっちり期間が決められているわけでありません。

短期処遇は原則6ヶ月以内、長期処遇は原則2年以内となります。

ただし,処分時に18歳・19歳の少年(特定少年)については,上限3年の範囲内で少年審判の際に決定されます(少年法64条3項)。

少年院では、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導などといった指導を通して、少年院に入っている少年に健全な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識及び能力を習得させるための指導が行われます。

 

4 試験観察

少年審判の結果、少年院送致にするのか保護観察にするのか裁判官が迷う場合があります。そのようなときには、試験観察という中間的な処分が行われることがあります。

試験観察では、一定の期間を定め、定期的に家庭裁判所調査官と面談を重ねながら、最終的に裁判官が処分を決するに必要な情報を得ていきます。

あくまで中間的な処分ですので、最終的には「保護観察」や「少年院送致」など何らかの処分がされることとなります。

通常であれば、「少年院送致」になるような少年であっても、「試験観察」中に適切な活動をした結果、「保護観察」になる可能性もでてきます。

 

5 検察官送致

検察官送致になるのは、①本人が実は20歳以上であることが判明した場合か②成人と同じように刑事処分にするのを相当と認めた場合(いわゆる「逆送」)です。

②の場合として、18歳未満の少年について,家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき(パターン①)は、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければなりません(少年法20条1項)。

また、18歳未満の少年について,家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの(パターン➁)については、管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致する決定をしなければなりません。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、送致する決定をしないことができます(少年法20条2項)。

一方で,行為時に18歳・19歳の少年(特定少年)については,死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件に加えて,罰金等に当たる罪の事件であっても、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき(パターン①の拡大)は,決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければなりません(少年法62条1項)。

さらに,行為時に18歳・19歳の少年(特定少年)については,家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものだけではなく,死刑または無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件についても(パターン➁の拡大)、管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致する決定をしなければなりません。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、送致する決定をしないことができます(少年法20条2項)。

成人の場合の刑事裁判の流れについては、「刑事裁判の流れ」をご参照ください。

検察官に事件が「逆送」された場合、原則として起訴(裁判にかけることをいいます。)されます。

例外的に起訴されないのは、①逆送されてきた事件の一部について裁判にかけるほどの疑いがないとき、②新たな事情が発見されて裁判にかけるのが相当でないとき、③逆送後の状況により裁判にかけるのが相当でないときです。

これらの例外的な場合には、改めて事件が家庭裁判所に送られて少年審判を受けることになります。

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