未成年にかかわる性犯罪~児童ポルノ①

未成年にかかわる性犯罪~児童ポルノ①

~前回からの流れ~
会社員であるAさんは、SNSで知り合った16歳の女子高生を名乗るVさんと仲良くなり、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
Aさんは、
①Vさんに「エッチしようよ」等と言ってVさんの同意のもと性行為をしましたが、特にお金をあげたり物をあげたりすることはなく、Vさんも要求することはありませんでした。
②Vさんに性行為を求め、Vさんが「3万円ならいいよ」と言ったので、3万円を支払ってVさんと性行為をしました。
③Vさんと性行為をしましたが、その際、Vさんの同意のもと、性行為をしている様子をスマートフォンで録画していました。
④Vさんと同意のもと性行為をしましたが、その後、Vさんが12歳であったことが発覚しました。
その後、Vさんが滋賀県甲賀警察署に補導されたことでAさんとVさんの関係が露見し、Aさんは滋賀県甲賀警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・児童ポルノ

今回の記事では、Aさんが③の行為をしていたケースについて、どういった犯罪の成立が考えられるか検討していきます。

まず、Aさんは16歳であるVさんと性行為をしていることから、詳細な態様によって、「淫行」をしたという滋賀県の青少年健全育成条例違反か、「児童買春」をしたという児童買春・児童ポルノ禁止法違反の成立が考えられます(これらの区別については前回までの記事をご覧ください。)。
しかし、③のAさんは、さらに性行為の様子を録画しています。
このことから、Aさんには、児童ポルノに関する部分において、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性が出てきます。

前回までの「児童買春」の際に出てきた児童買春・児童ポルノ禁止法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)では、児童買春だけでなく、児童ポルノについての規制や処罰も定めています。
そもそも、児童ポルノとは、以下のように定義されています。

児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

大まかに言えば、児童相手の性行為の写真や動画、そのデータ(2条3項1号)、他人が児童相手に性器等を触ったり触らせたりしている写真や動画、そのデータ(2条3項2号)、衣服を全部または一部付けていない児童の胸や尻といった部分を強調・露出した写真や動画、そのデータ(2条3項3号)といったものが、「児童ポルノ」にあたりうるということになります。
そして、この児童ポルノについては、製造することはもちろん、所持することや児童ポルノを拡散することも禁止されています。

児童ポルノの単純所持:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項)
児童ポルノの提供、提供目的所持・製造・輸入:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童買春・児童ポルノ禁止法7条2項・3項)
児童ポルノの製造(盗撮によるものも含む):3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童買春・児童ポルノ禁止法7条4項・5項)
児童ポルノの公然陳列、不特定又は多数への提供:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれの併科(児童買春・児童ポルノ禁止法7条6項)
児童ポルノの公然陳列、不特定又は多数への提供目的の所持等:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれの併科(児童買春・児童ポルノ禁止法7条7項)

このように、児童ポルノの規制は種類も多く、同じ児童ポルノの所持や製造であっても、目的によって刑罰の重さが異なるなど、一見しただけではわかりづらい部分もあります。
児童ポルノ事件に関与してしまったとなれば、まずは自分がどの部分に違反するどういった罪に当たりうるのか、弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門弁護士が、児童ポルノ事件の弁護活動にあたります。
もちろん、まずは弁護士に相談してみたいという方も遠慮なくご相談いただけます。
ご予約・お問い合わせは0120-631-881からお気軽にどうぞ。

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