滋賀県米原市の公然わいせつ事件

滋賀県米原市の公然わいせつ事件

50代の男性Aさんは、滋賀県米原市に住んでいます。
Aさんは散歩に出る際、「どうせ自宅の周りは人通りも少ないのだから大丈夫だろう」と考え、上半身裸で下半身には下着を1枚身に着けて外に出ました。
Aさんは散歩の途中、下着の中に風入れようと、道端で下着の腰のゴムの部分を手にもってパタパタと動かしました。
そうしている最中、「こうして動かしていたら脱げてしまいそうになるが、別に人通りも少ないから大丈夫だろう。もし見られたとしても露出狂のように積極的に見せに行っているわけではないのだから問題ない」と考え、継続して下着をあおぎ続けていました。
すると、危惧していた通り、勢い余って下着がずり落ちて局部が丸見えになってしまいました。
たまたま通りかかっていた通行人のVさんがその様子を目撃し、滋賀県米原警察署に通報。
Aさんは公然わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・公然わいせつ罪

今回Aさんが問われている公然わいせつ罪は、刑法に定められている犯罪です。

刑法174条(公然わいせつ罪)
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

公然わいせつ罪の典型例としては、Aさんが想像していたようないわゆる露出狂であったり、駐車場や路上に停めた車内でわいせつ行為をしてしまったケースが挙げられます。
公然わいせつ罪の成立には、①「公然と」②「わいせつな行為」をすることが必要です。
この2つの条件について、今回のAさんの行為も検討しながら考えていきましょう。

・①「公然と」

公然わいせつ罪にいう「公然と」とは、一般に、不特定または多数人が認識することのできる状態をいう、とされています。
ここで注意が必要なのは、公然わいせつ罪の成立には不特定または多数の人が認識しなくともよく、不特定または多数の人が認識できる状態であればよいということです。
つまり、たとえ誰もそのわいせつ行為を目撃していなかったとしても、不特定または多数の人がわいせつ行為を認識する可能性があれば、公然わいせつ罪は成立するのです(ただし、そうした状態では公然わいせつ事件として立件されるきっかけがないことになるため、公然わいせつ事件として立件される可能性は非常に低いといえます。)。
ですから、「人通りが少ないから大丈夫」「見られなければ問題ない」と軽く考えて、公然わいせつ罪にあたりうる行為をすることはやめておきましょう。

今回のAさんの状況を考えてみると、Aさんが下着を下してしまったのは散歩途中の道端です。
人通りが少ないとはいえ、道路は誰が通るか分からず、なおかつ誰でも通れる場所です。
そうしたことから、Aさんは「公然と」に当てはまる場所で下着を下してしまったと考えられ、公然わいせつ罪成立の①の条件を満たしていると考えられます。

・②「わいせつな行為」

公然わいせつ罪にいう「わいせつな行為」とは、「その行為者またはその他の者の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」であるとされています(東京高判昭和27.12.18)。
つまり、大まかに言えば、その行為に被疑者本人またはその他の人の性欲を刺激するような行為で、通常一般の人が見た際に性的羞恥心を感じるような行為は「わいせつ行為」であるということができます。

Aさんの行為を考えてみると、Aさんは下着を下して局部を出してしまっています。
通常、人の局部は性的なものとして見られており、さらにそれを外で出しているという状況は、他人から見れば性的羞恥心を害するものであると考えられます。
ですから、Aさんの行為は公然わいせつ罪成立の②の条件を満たしていると考えられます。

・Aさんには故意がない?

しかし、Aさんは特段局部を露出させようと思っていたわけではありません。
犯罪は原則として故意(犯罪をするという認識)がなければ成立しませんが、それでもAさんには公然わいせつ罪が成立するのでしょうか。

ここでポイントとなるのは、Aさんが「こうして動かしていたら脱げてしまいそうになるが、別に人通りも少ないから大丈夫だろう。それにもし見られたとしても露出狂のように積極的に見せに行っているわけではないのだから問題ない」と考えていたことです。
このことから、Aさんは局部が丸出しになってしまう可能性を考えながら、そうなってもいい、問題ないと考えてあえて下着をあおぐ行為をやめていないということがわかります。
このように、「法律に違反する行為となる可能性があるがそれでもいい」とあえて行為をしている場合は、犯罪の可能性を認識していながらあえて行ったとして故意が認められる可能性が出てきます(これを「未必の故意」ということがあります。)。

ただし、本当に公然わいせつ罪が成立するのか、冤罪として争う余地があるのかということは、具体的な状況に基づいて、より専門的な見地から検討しなければいけません。
そうした検討をするには、刑事事件の知識や経験が必要不可欠ですから、滋賀県公然わいせつ事件にお困りの際は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士まで、ご相談下さい。

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