DVによる傷害事件の逮捕にも対応
DVによる傷害事件の逮捕に対応するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県近江八幡市に住んでいるAさんは、妻であるVさんと2人で暮らしていました。
ある日、機嫌の悪かったAさんは、酒に酔い、注意してきたVさんに腹を立ててVさんを殴ってしまいました。
倒れ込んだVさんが頭を打ち付け出血してしまったため、Vさんは「夫と喧嘩になって頭を打ち、血が出てきた」と救急車を呼びました。
その際、滋賀県近江八幡警察署の警察官も臨場し、AさんはDVによる傷害罪の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Bさんは、まさかこれほどの大事になるとは思いもよらず、Aさんの両親に相談。
その後、Aさんの両親は刑事事件に強い弁護士に今後どのようにしたらよいか相談することにしました。
(※フィクションです。)
・DV防止法
家庭内暴力は、ドメスティックバイオレンス、通称DVと呼ばれます。
DVは、今回の事例のように夫婦間で起こる場合もありますし、親子間で起こる場合もあります。
そして、今回の事例のように夫が妻に暴力を振るう等するDVもあれば、逆に妻が夫に暴力をふるう等するDVもあります。
DVについては、通称DV防止法(正式名称:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)という法律も定められています。
DV防止法では、主にDVの防止やDVを受けてしまった人の保護、その自立支援の体制などを定めています。
しかし、DV防止法では、DVの行為自体を直接犯罪として定めているわけではありません。
DV防止法違反として処罰されるのは、「保護命令」に違反した場合です。
DV防止法に基づいて出される「保護命令」とは、DVの被害者の住居等に接近することや、DVの被害者と同居している場合にそこから退去すること、DVの被害者の子供への接近すること等を禁止する命令です。
この命令に違反した場合には、DV防止法違反として処罰されることになります。
保護命令違反によるDV防止法違反の法定刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(DV防止法29条)。
・DVと刑事事件
先述したように、DVはDV行為自体が「DV」として犯罪が定められているわけではありません。
では、DV行為はどのように処罰されることになるのでしょうか。
DVは、そのDVの態様によって、刑法やその他の特別法に触れる行為として犯罪になります。
例えば、今回のAさんとVさんの事例では、AさんがVさんに暴力をふるい、けがをさせてしまっています。
このようなDVの場合、刑法の暴行罪や傷害罪によって対処されるということになるでしょう。
刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
・DV事件と弁護活動
DV事件では継続してDVをしていたのではないかと疑われたり、被害者への接触が懸念されることから逮捕・勾留による身体拘束が行われたりすることも多いです。
例えば、今回のAさんの場合、事例を見る限りでは、Aさんは継続してDVをしていたわけではないようです。
しかし、それらをAさん1人で取調べで主張し続けることはAさんの負担が大きいかもしれませんし、Aさんが釈放されれば今回の傷害事件の被害者であるVさんと一緒に住んでいる家に帰ることになるわけですから、被害者との接触を考えればこのまま逮捕に引き続いて勾留されてしまう可能性も低くないでしょう。
だからこそ、弁護士に依頼し、取調べ対応のためのアドバイスや、釈放に向けた環境づくりとその主張をしてもらうことが重要となってくるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、傷害事件などDVに絡んだ刑事事件のご相談も受け付けております。
逮捕された方向けの初回接見サービスや、在宅捜査を受けている方向けの初回無料法律相談をご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。