1 言語・文化の問題
日本に在留している外国人の方が日本国内で刑事事件に関わってしまった場合、言葉の問題が生じます。外国人であっても十分な手続き保障がなされるべきであることには変わりありません。
日本の警察は、できる限り通訳をつけたり、翻訳文を示したりしながら捜査が行われますが、原則としては日本語で全て手続きが進みます。
また、面会においても日本語で行わなければなりません。弁護士以外との面会では警察官が立ち会い、事件について話さないように監視していますので、日本語以外で会話することが制限されています。
逮捕勾留されてしまった場合、留置施設の中で身体拘束を受けることになりますが、そこでは文化や宗教の違いについては配慮が徹底しているとは言えません。
留置施設の中での生活において不都合がある場合にも弁護士を通して捜査機関と折衝していく必要があります。粘り強く交渉することで、食事や宗教について外国人の方に合わせた生活を送ることができる場合もあります。
2 在留資格の問題
外国人の方が刑事事件に関わってしまった場合、在留資格の問題も生じてきます。刑事事件の被告人として有罪判決を受けたとしても、強制退去事由となる場合とならない場合とがあります。
原則として、無期又は1年以上の懲役刑もしくは禁錮に処せられた場合には強制退去できるものとされており、退去後も10年(任意で退去した場合には5年)間は日本に上陸することができません。執行猶予付き判決や罰金刑のみの場合は、刑に処せられたことになりませんので強制退去事由とはなりません。
しかし、刑法に規定されている犯罪の中でも、殺人罪や傷害罪、逮捕監禁罪や誘拐罪、窃盗罪や詐欺罪、恐喝罪、強盗罪、住居侵入罪や偽造の罪、賭博罪など、一定の犯罪については執行猶予付きの判決であっても、懲役刑や禁錮刑が言い渡されてそれが確定してしまうことが強制退去事由となることがあります。
覚せい剤取締法違反や麻薬取締法違反といった薬物関係の法律に違反し、有罪となった場合、刑の内容に関わらず有罪判決が言い渡されたことが強制退去事由となります。
一定の刑以上が強制退去の理由となる場合、減刑を求めて弁護活動を行うことになります。日本で処罰されている行為についてその理由を理解して再犯を行わないように目指すとともに、きちんとした身元引受人を探すことで生活の監督も十分にできることを主張していくことになります。被害者のいる犯罪については、示談を行うことが非常に重要です。
~外国人事件の弁護活動のポイント~
外国人事件は、通常の刑事事件と比べ、在留資格との関係で、入管法上の問題が常につきまとってきます。外国人事件でお悩みの場合には、直ぐに弁護士に相談し、適切な弁護活動と説明を受けることが重要です。弁護士は、当人が日本へ今後も在留したいのか、そうではないのか等の当人の希望を聞いたうえで、今後の見通しや対応について説明します。
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