原付の2人乗りで道路交通法違反①

原付の2人乗りで道路交通法違反①

滋賀県長浜市に住むAさん(17歳)は、原付免許を取得し、50ccの原付を運転していました。
ある日、Aさんは友人のVさんを原付の後ろに乗せ、滋賀県長浜市内を通る道路で2人乗りをしていました。
するとその姿を発見したパトカーで巡回中の滋賀県長浜警察署の警察官が、「原付2人乗り道路交通法違反になります。そこの原付、停まりなさい」と声をかけてきました。
捕まってはまずいと思ったAさんは、原付を運転してパトカーから逃げましたが、途中で乗用車と衝突してしまいました。
幸いにも死亡した人はいませんでしたが、Aさんは道路交通法違反(定員外乗車)の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月13日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・原付の2人乗り

まず、いわゆる原付とは、「原動機付自転車」とのことを言います。
道路交通法では、原付について以下のように定義されています。

道路交通法2条1項10号
原動機付自転車
内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。

そして、この「内閣府令で定める大きさ」については、道路交通法施行規則に詳しく規定があります。

道路交通法施行規則1条の2
道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第2条第1項第10号の内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については0.050リツトル、定格出力については0.60キロワツトとし、その他のものにあつては、総排気量については0.020リツトル、定格出力については0.25キロワツトとする。

つまり、道路交通法上では総排気量が50cc以下のものが原付であるということになります。
なお、道路交通法上では50cc以下のものが原付であるのに対し、道路運送車両法という別の法律では、125cc以下の二輪車も「原付」に含まれます(道路運送車両法2条3項、道路運送車両法施行規則1条)。
法律によっては原付として考えられる範囲も異なるということに注意が必要です。

では、話を道路交通法に戻し、2人乗りについての規定を確認してみましょう。
道路交通法では、以下のように乗車人員についての決まりを設けています。

道路交通法57条1項
車両(軽車両を除く。以下この項及び第58条の2から第58条の5までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
(以下略)

道路交通法120条1項10号の2
第57条(乗車又は積載の制限等)第1項の規定に違反した者(第118条第1項第2号及び第119条第1項第3号の2に該当する者を除く。)
※注:道路交通法118条・119条は荷物の積載についての罰則。

道路交通法2条8号で「車両」とは「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。」とされているため、先ほど確認した総排気量が50cc以下の原付は道路交通法のいう「車両」に含まれます。
ですから、原付で定員外乗車をした場合には、道路交通法57条1項に違反し、道路交通法120条1項10号の2に該当して処罰されることになります。
では、原付の定員はどこに定められているのかというと、道路交通法施行令にあります。

道路交通法施行令23条
原動機付自転車の法第57条第1項の政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法の制限は、次の各号に定めるところによる。
1号 乗車人員は、一人をこえないこと。

つまり、原付の定員は1人ということですから、道路交通法のいう「原付」=総排気量50cc以下の二輪車については、2人乗りはできないということになります。
なお、事例のAさんの取得している原付免許で運転できる原付は総排気量が50cc以下のものに限定されますから(道路交通法85条)、Aさんの場合は必ず原付に1人で乗らなければならない(2人乗りはできない)ということになるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした原付の2人乗りで現行犯逮捕されてしまったというような少年事件についてもご相談いただけます。
次回以降の記事では今回のAさんの逮捕についてやこういった道路交通法違反事件少年事件としての手続きについて、他に成立が考えられる犯罪について取り上げていきます。

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