犯人隠避罪で逮捕されたら

犯人隠避罪で逮捕されたら

犯人隠避罪逮捕されてしまったケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県大津市に住んでいるAさんは,同棲している恋人であるBさんが滋賀県大津市の路上で飲酒運転をして事故を起こしたので,Bさんの身代わりに滋賀県大津警察署に出頭し,自分が交通事故を起こしたと述べました。
しかし,滋賀県大津警察署の捜査の結果,実際に交通事故を起こしたのはBさんであったことが発覚しました。
そして,Aさんのついていた嘘がばれ,Aさんはその場で犯人隠避罪の容疑で逮捕されました。
この逮捕を聞いたAさんの家族は,弁護士に相談し,ひとまず詳しい事情をAさんから聞いてもらうため,弁護士を派遣することにしました。
(フィクションです。)

~犯人隠避罪~

罰金以上の刑を犯した者を隠避させた場合,犯人隠避罪(刑法103条)が成立し,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑が科せられます。

刑法103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

犯人隠避罪は,刑法改正によって厳罰化された犯罪の1つです。
3年以下の懲役又は30万円以下の罰金という軽くはない法定刑に加え,犯人を隠す等の行為をしていることから,逃亡・証拠隠滅のおそれがあると判断されて逮捕・勾留によって身体拘束をされての捜査となる可能性も高いです。

犯人隠避罪のいう「隠避」とは,官憲の発見・逮捕を免れるべき隠匿場を供給してかくまう方法以外の方法により官憲の発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいいます(大判明治43.4.25)。
身代わり犯人として自首することは,本当の犯人を隠してしまうことにつながります。
すなわち,「官憲の発見・逮捕を免れるべき隠匿場を供給してかくまう方法以外の方法により官憲の発見・逮捕を免れさせる」行為にあたりますから,犯人隠避罪のいう「隠避」に当たります。
したがって,Bさんの身代わりに出頭したAさんの行為は,犯人隠避罪に該当すると考えられます。

ここで,犯人隠避罪には,犯人の親族が,犯人または逃走者の利益のために「隠避」を犯したときは,刑事事件化しても刑が免除されることがあるという規定が存在します。

刑法105条
前二条の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。

これは,犯人の親族が犯人隠避罪を犯してしまうのは,自然の人情として当該行為を行わないことに対する期待可能性が少ないことに鑑みた規定です。
刑法105条で指す「親族」とは,民法上親族とされる者であり,親,子,配偶者,祖父母,孫等が該当します。
しかし,Aさんは犯人であるBさんの恋人ですから,この規定には該当しないということになります。

~犯人隠避事件と弁護活動~

前述のように,刑事事件逮捕・勾留するかどうかは証拠隠滅や逃亡のおそれの有無で判断されるところ,犯人隠避罪は典型的な捜査妨害なので,逮捕・勾留を回避することは簡単ではありません。
しかし,仮に身体拘束されてしまったとしても,釈放を目指して弁護士に活動してもらうことはできます。
犯人隠避事件釈放を目指す場合には,身元引受人の確保,帰住先の確保,犯人との接触を断つ対策等をして,裁判官へ釈放を主張していくことが考えられます。

さらに,犯人隠避事件の場合,被害者がいないため示談をすることがでない分,自首,贖罪寄付,家族など監督者の存在のアピールなどが必要になってきます。
どういった事情をどのように主張していくべきかは,刑事事件に強い弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,犯人隠避事件のような珍しい罪名の刑事事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽に,0120-631-881までお問い合わせください。

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