1 不同意わいせつ罪
(1)不同意わいせつ罪とは
不同意わいせつ罪とは、上記一定の条件を満たす場合に、わいせつな行為をすると成立する犯罪です。
(2)不同意わいせつ罪が成立する条件
ア 被害者が16歳以上の場合
不同意わいせつ罪は、大きく分けて2つの種類があります。分ける基準は、被害者が16歳以上か16歳未満かどうかです。
まず、「わいせつな行為」に当たるものとしては、キスをしたり、陰部に触れたりすることなどがあげられます。もっとも、性交でなくても、肛門性交やいわゆるフェラチオは後述の不同意性交等罪に該当することになります。
被害者が16歳以上の場合、「暴行又は脅迫」をふくめて、刑法176条1項で挙げられている8つの要件に当たるか、それに類する事情があって、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をしたときに、不同意わいせつ罪が成立します。
注意が必要なのは、「暴行」に当たる行為と「わいせつな行為」とが同じ行為であっても、不同意わいせつ罪は成立します。例えば、すれ違いざまに女性の胸を触る行為であっても、不同意わいせつ罪は成立します。
「心身の障害」とは、身体障害、知的障害、発達障害及び精神障害を意味し、その程度は問わず、一時的な障害も含みます。
「心身に障害を生じさせること」は、例えば、行為者自身が、被害者に対し、脅迫以外の手段で強いストレスを与えるなどして、一時的な精神症状を引き起こさせる行為などを想定したものです。
そのため、必ずしも加害者―被害者が親族間でなければならないというものではありません。
イ 被害者が16歳未満の場合
被害者が16歳未満の場合、わいせつ行為さえ行えば無条件で不同意わいせつ罪が成立します。そのため、16歳未満の被害者が同意をしていたとしても、不同意わいせつ罪が成立します。16歳未満の人には、わいせつな行為について承諾する能力がないと考えられるからです。
ただし、わいせつな行為をした人の生まれた日が、された人が生まれた日から5年間経っていなければ、わいせつ行為に同意がある限り不同意わいせつ罪は成立しません。
2 監護者わいせつ罪
【監護者わいせつ罪(刑法179条1項)】
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
監護者わいせつ罪とは、行為者が被害者を現に監護する者であることであるという影響力を用いて、18歳未満の被害者に対してわいせつな行為をした場合に成立します。
4 不同意わいせつ等致死傷罪
【不同意わいせつ等致死傷罪(刑法181条1項)】
第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
簡単にいうと、不同意わいせつをして怪我をさせたり、死亡させたりした場合に成立する犯罪です。死傷の結果は、わいせつ行為から生じた場合に限られず、その手段である暴行又は脅迫行為によって生じた場合も含まれます。
~不同意わいせつ事件における弁護活動~
1.捜査段階における弁護活動
- 弁護士が接見に赴き、嘘の自白調書やニュアンスが違った調書が作成されないようアドバイスします。
- 早期に示談交渉に着手するとともに、不起訴処分など有利な結果を導けるよう活動します。
- 早期の身柄開放を目指します。
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。 - 否認事件では、独自に事実調査を行うとともに、不起訴に向けて検察官に働きかけを行います。
2.公判段階における弁護活動
- 少しでも有利な処分(執行猶予)がでるように活動します。
- 依頼者の方と相談しつつ、必要であれば矯正プログラムの検討とともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポートします(捜査段階から行うこともあります)。
⇒性犯罪を起こした方は、自分のした行為を恥じ、深い後悔をされている方がほとんどです。にもかかわらず、犯行を常習的に行ってしまう場合があります。繰り返し性犯罪で捕まった場合、反省や更生がされていないとして、重い処分がなされる可能性が高まります。しかし、そのような常習者のなかにも、犯罪行為を辞めたいと思いながら、自らをコントロールできずに繰り返してしまう方がいます。このような場合には医療機関などの専門機関への受診と治療などを行い、根本からの改善を試みるように促します。 - 否認事件では、冤罪を防止すべく被害者の方に記憶違いがないかの検証・弾劾活動及び弁護側独自で有利な証拠を収集・提出できるよう活動します。
大津など滋賀県の不同意わいせつ事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、大津など滋賀県内の様々な性犯罪について、刑事事件・少年事件に強い弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が滋賀県で逮捕勾留されている場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や拘置所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。