1 執行猶予判決とは
執行猶予判決は、例えば、「被告人を懲役2年に処する。この裁判確定の日から3年間、その刑の執行を猶予する」という形で言い渡されます。
この判決の意味は、簡単に言えば次のようなものです。まず、本当ならば、刑務所には2年間行かなければならない。しかし、判決から3年間再び罪を犯すことがなければ、刑務所に行かなくていい。もしも、その3年の間に、もう一度罪を犯した場合には、その新たに犯した罪の刑期に加えて、2年間刑務所に行かなければならない。これが執行猶予判決の大まかな意味です。
ですから、執行猶予期間中に起訴されてしまった場合、そのまま有罪になると相当長い期間、刑務所に行くことになってしまいます。
2 再度の執行猶予
このように、基本的には、執行猶予中に再び罪を犯すと、今度は刑務所に行かなければなりません。
しかし、例外的にもう一度だけ執行猶予にすることができる制度があります。
その条件は次のようなものです。
まず1つ目は、①前回の執行猶予が刑の全部の執行猶予であることです。
執行猶予判決の中には、刑の一部を実刑にし、残りを執行猶予にするという判決の方法もあります。この執行猶予のことを刑の一部執行猶予といいます。詳しくは、「執行猶予・一部執行猶予について」のページをご参照ください。この刑の一部の執行猶予では再度の執行猶予にすることはできません。
2つ目は、②今回の罪で処する懲役刑の期間が1年いかであることです。
通常の執行猶予の場合には、3年以下の懲役であれば執行猶予にすることができます。しかし、再び執行猶予にするためには、再び執行猶予にした方がいいといえるほど今回の犯罪が軽いものである必要があります。そのため、1年以下の懲役でなければなりません。
3つ目は、③情状に特に酌量すべき点があるといえることです。
情状については、執行猶予のときに述べたのと同じように、同種の事案に比べて重い事案なのかどうかや、被害者の処罰感情、示談の有無、被告人の反省の程度など、様々な要素を考慮されます。ただし、通常の執行猶予に比べて、そのハードルが高くなります。
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