侵入盗事件で複数犯罪が成立するケース

侵入盗事件で複数犯罪が成立するケース

侵入盗事件で複数犯罪が成立するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県大津市にあるVさんの経営するアクセサリー店の店先に「しばらく不在にするため、お休みいたします」という貼り紙を見つけました。
Aさんは、「しばらく休むのであれば店に人はいないだろう。この隙に売上金や商品を盗んでもばれないのではないか」と考え、Vさんの店にガラスを割ったり鍵を壊したりなどして侵入したうえで、店内に残っていた売上金の一部や商品を盗み出しました。
翌日、店の様子を見にきたVさんが店の状況から侵入盗にあったことに気づき、滋賀県大津北警察署に通報。
防犯カメラなどの映像からAさんの犯行が発覚し、Aさんは滋賀県大津北警察署窃盗罪などの容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・1つの刑事事件で複数の犯罪が成立する場合

前回の記事で触れた通り、侵入盗事件では、建造物侵入罪(住居侵入罪)窃盗罪という2つの犯罪が成立することになり、さらに今回のAさんの場合はガラスや鍵を壊したことによる器物損壊罪が成立することになるため、侵入盗事件1件に対して3つの犯罪が成立することになります。
1つの刑事事件で3つの犯罪が成立する場合、どのような処理がされるのでしょうか。

刑法では、複数の犯罪が成立する場合、その犯罪同士がどういった関係であるのかによって、処理の仕方が変わります。
ですから、複数の犯罪が成立する刑事事件では、それぞれの犯罪の関係を考えなければなりません。

例えば、今回のAさんの侵入盗事件の場合、成立する犯罪は建造物侵入罪窃盗罪器物損壊罪の3つですが、これらは全てそれぞれがそれぞれの手段と目的の関係にあります。
ガラスや鍵を壊す行為(器物損壊罪に当たる行為)は店に侵入する(建造物侵入罪に当たる行為)ためのものであり、その店に侵入する行為(建造物侵入罪に当たる行為)は店内の金品を盗む(窃盗罪に当たる行為)ためという関係であるということです。

このように、複数の犯罪が目的と手段の関係にある場合、「牽連犯」と言われます。
牽連犯の処理の仕方は、刑法の以下の条文で決められています。

刑法第54条
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

この刑法第54条後段の「犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるとき」が「牽連犯」にあたります。
「牽連犯」は「その最も重い刑により処断」されるため、Aさんの場合、建造物侵入罪窃盗罪器物損壊罪のうち、もっとも重い刑の範囲で処断されることになります。
これらの犯罪の法定刑をもう一度確認してみましょう。

刑法第130条(建造物侵入罪)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

建造物侵入罪窃盗罪器物損壊罪で最も重い刑は、窃盗罪の「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですから、Aさんの処分はこの刑罰の範囲内で決められることになります。

複数の犯罪が成立するからといって、単純にそれぞれの法定刑を足せばいいというわけではありません。
刑事事件では、このように細かい処理の仕方1つとっても条文やその解釈を知っていなければ判断するのも難しいです。
だからこそ、刑事事件にお困りの際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
刑事事件専門弁護士がご相談者様の不安解消の手助けをします。

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