【事例紹介】10代女性が衣服の一部をつけていない姿を撮影したとして逮捕された事例
18歳に満たない者が衣服の一部をつけていない姿を撮影し、保存・記録したとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は16日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、大津市、屋根工の男(48)を逮捕した。容疑者は、容疑の一部を否認しているという。
逮捕容疑は、(中略)知人関係にある県内の10代女性が18歳に満たない児童と知りながら、容疑者宅で、衣服の一部をつけていない姿をひそかにスマートフォンで撮影し、記録・保存して、児童ポルノを製造した疑い。
同署によると、容疑者は動画撮影は認める一方、「性的な目的は一切ありません」と話しているという。
(1月16日 京都新聞 「10代女性をひそかに撮影、児童ポルノ製造 容疑で48歳の男逮捕」より引用)
児童ポルノ
今回の事例では児童ポルノを製造したとされていますが、児童ポルノとはどのようなものを指すのでしょうか。
児童ポルノは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ禁止法」といいます。)第2条3項で定義づけられており、以下のような児童の姿を撮影した写真や動画などを児童ポルノといいます。
・性交や性交に類似した行為をしている姿
・性器等を触られている姿や他人の性器等を触っている姿で性欲を興奮または刺激させるもの
・全裸であったり服を一部着ないでいる状態で性的な部位が露出または強調されており性欲を興奮させたり刺激するような姿
また、児童とは18歳未満に満たない者を指します。(児童ポルノ禁止法第2条1項)
ですので、18歳未満の者の上記のような姿が映された写真や動画は児童ポルノにあたる可能性があります。
今回の事例で製造したとされているものは児童ポルノにあたるでしょうか。
報道によると、18歳未満の者が衣服の一部をつけていない姿をスマートフォンで撮影し記録・保存したとされています。
児童が服を一部着ていない状態で性的な部分が露出していたり強調されていて性欲を興奮させたり刺激するような写真などは児童ポルノにあたりますので、容疑者が撮影したとされている写真が性的な部分が露出していたり強調されていて性欲を興奮、刺激させるようなものであれば、児童ポルノにあたる可能性があるといえます。
児童ポルノの製造
今回の事例では、容疑者が児童ポルノを製造したとされていますが何か罪に問われるのでしょうか。
児童ポルノ禁止法第7条
2項 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
5項 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
児童ポルノ禁止法第7条5項では、ひそかに児童ポルノにあたる写真や動画などを製造することを禁止しています。
今回の事例では、18歳未満の者が衣服の一部をつけていない姿をひそかにスマートフォンで撮影し、記録・保存したとされています。
実際に容疑者がそのような18歳未満の上記のような姿を撮影し、その写真が児童ポルノにあたるのであれば、児童ポルノを製造したとして児童ポルノ禁止法違反の罪に問われる可能性があります。
児童ポルノの製造と示談
刑事事件では示談の締結が、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得につながると聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実際に、刑事事件では、示談を締結することで有利な事情として考慮される可能性があります。
今回の事例のようなケースでは、被害者は未成年ですから、被害者の保護者と示談を締結することになると思われます。
ですが、保護者との間で示談を締結する場合には処罰感情が苛烈であることが予想され、示談交渉が難航してしまう可能性があります。
また、加害者自らが示談交渉を行う場合には、加害者とは話すことすらしたくないと思われる方もいらっしゃいますので、示談交渉はおろか連絡さえ取れないこともあります。
弁護士を介して示談交渉を行うことで、話を聞いてもらえる可能性やトラブルを回避できる可能性がありますので、示談交渉を行う際は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
児童ポルノ禁止法違反などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。