気に入らない友人のコートに嫌がらせ目的で尿をかけ、器物損壊罪の容疑で捜査を受けることになった事例①

気に入らない友人のコートに嫌がらせ目的で尿をかけ、器物損壊罪の容疑で捜査を受けることになった事例①

警察官に取調べを受ける男性

コートに尿をかけ器物損壊罪の容疑で捜査を受けることになった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県長浜市に住むAさんは気に入らない友人のVさんに嫌がらせをするために、Vさんのコートに尿をかけました。
Vさんはコートの異臭に気づき、こんなことをするのはAさんしかいないだろうと思い、Aさんを問い詰めたところ、Aさんはコートに尿をかけたと認めました。
Vさんは、滋賀県長浜警察署に被害届を提出しました。
翌日、Aさんの下に滋賀県長浜警察署の警察官から「被害届が出ているから詳しく話を聞きたい。署まで来てほしい」と連絡がありました。
後日、Aさんが滋賀県長浜警察署に出頭したところ、Vさんから被害届が出ており、器物損壊罪の容疑で捜査すると聞かされました。
Aさんは警察官に「コートを破いたりして着られなくしたわけではないし、クリーニングに出せばまた着られるのに、器物損壊罪で捜査するのはおかしい」と伝えたのですが聞く耳をもってもらえません。
Aさんはコートに尿をかける行為で器物損壊罪が成立するのか疑問に思っているようです。
(事例はフィクションです。)

器物損壊罪は成立するの?

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第261条では、器物損壊罪が規定されています。
刑法第261条で規定されている「前三条」とは、公用文書毀損罪(刑法第258条)、私用文書毀損罪(刑法第259条)、建造物等損壊罪(刑法第260条)を指します。
ですので、器物損壊罪の対象は、上記の3つの犯罪が対象とする公用文書や私用文書、建造物などを除いた、他人の物になります。

器物損壊罪は、簡単に説明すると、公用文書や私用文書、建造物などを除いた人の物を使用できなくさせた際に成立する犯罪です。
「使用できなくさせた」とすると、物理的に破壊して使えないようにさせることをイメージされるかと思います。
器物損壊罪の規定する「損壊」とは、物理的破壊だけではなく、物の効用を害する一切の行為を指します。
ですので、心理的に使用できない状態器物損壊罪が規定する「損壊」にあたります。

今回の事例では、AさんがVさんのコートに尿をかけています。
Aさんが言うように、コートに尿がかかっていたとしても、クリーニングできれいにされれば再びコートを着ることは可能でしょう。
ですが、クリーニングできれいになったとはいえ、悪意をもって尿をかけられたコートをもう一度着たいとは、Vさんには思えないと思います。
先ほど解説したように、心理的に使用できない状態も「損壊」にあたりますから、コートに尿をかける行為は器物損壊罪にあたると考えられます。
ですので、今回の事例のAさんには器物損壊罪が成立する可能性があるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、少しでも良い結果を得られる可能性があります。
Aさんのように器物損壊罪で捜査を受けている方、呼び出しを受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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