窃盗事件の逮捕と釈放
Aさんは,滋賀県彦根市のフットサル施設の女性用脱衣場に侵入し,Vさんのリュックサックに入れられていたシャツや下着など14点を盗みました。
Vさんが確認したところ,リュックサックから衣服がなくなっていることに気づき,施設職員に相談。
そこから滋賀県彦根警察署に通報されました。
その後,窃盗事件として捜査が開始され,防犯カメラの映像からAさんの犯行であることが発覚し,Aさんは,滋賀県彦根市を管轄する滋賀県彦根警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
~脱衣所での窃盗事件~
他人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
その場合,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。
窃盗罪は,他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは,財物の占有を移転し,それを取得することをいいます。
持ち主であるVさんの意思に反して衣服を持ち去ったAさんの行為には窃盗罪が成立することには疑いがないでしょう。
また,Aさんは原則として男性の立ち入りが認められていない女性用脱衣場にVさんの衣服を盗むために立ち入っています。
正当な理由なく侵入をしたこの行為には,建造物侵入罪(130条前段)が成立する可能性があります。
そして,Aさんの窃盗罪に当たる行為と建造物侵入罪に当たる行為は,目的手段の関係(窃盗罪をする目的で手段として建造物侵入罪を犯す)に立ちます。
そのため,牽連犯という考え方が用いられ,より重い窃盗罪の刑で処断されることになります(刑法54条1項前段)。
~窃盗事件で逮捕~
窃盗罪の法定刑は前述のとおりです。
窃盗罪は,決して軽い犯罪ではありません。
こうした建造物侵入罪の成立も考えられる窃盗事件では,万引きや置引きといった単純な窃盗事件よりも重い処罰となる可能性が高いです。
さらに,建造物侵入行為を伴う窃盗事件では,逮捕されてしまうこともあります。
窃盗事件を起こして逮捕されてしまった場合には,なるべく早く弁護士に依頼した方がよいでしょう。
窃盗事件の依頼を受けた弁護士の活動としては,まず刑事事件化する以前であれば,被害者と示談をして,被害届を出さないようにしてもらい,刑事事件化を防ぐことが考えられます。
他方,今回のように被害届が出され,逮捕されてしまったような場合には,弁護士は,検察官や裁判所に対し,勾留の必要性がないことを主張し,釈放を目指すことになるでしょう。
また,弁護士が依頼を受けたタイミングにかかわらず,弁護士は被害者との示談を試みることが考えられます。
検察官が起訴不起訴の処分を決める前に示談することができれば,不起訴処分となり,前科がつかなくなる可能性があります。
また,仮に裁判になってしまったような場合でも,示談の成立は,量刑上有利に考慮されます。
ただし,今回のような下着類や衣服を盗む窃盗事件の場合,被害者の処罰感情や恐怖が大きく,当事者同士での謝罪や弁償が難しいことも考えられます。
そういった場合には,第三者である弁護士を介在させて交渉をすることで,被害者としても安心して示談交渉に臨むことのできる環境を作ることができます。
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