自動車の業務上横領事件で逮捕

自動車の業務上横領事件で逮捕

自動車業務上横領事件逮捕されたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県高島市で車の修理販売会社を営んでいたAさんは,同じく滋賀県高島市に住んでいるVさんから修理の依頼を受け,車を預かっていました。
しかし,Aさんは,そのVさんから預かっていた車を,Vさんに無断で別の者に販売してしまいました。
いつまでも修理に出した車が戻ってこないことを不審に思ったVさんが調べたところ,Aさんが勝手に車を売り払っていたことが発覚。
Vさんが滋賀県高島警察署に被害を相談し,Aさんは業務上横領罪の容疑で滋賀県高島警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~業務上横領罪~

業務上自己の占有する他人の物を横領した場合,業務上横領罪(刑法253条)が成立します。
その場合,10年以下の懲役が科せられます。

刑法253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は,10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪における「業務」とは,委託を受けて他人の物を管理することを内容とする事務を反復継続して行う地位をいいます。
例えば,今回のAさんは車の修理業を営んでいます。
車の修理のためにはその車を預り,保管することになりますし,車の修理業を営めばそれを反復継続することになります。
ですから,Aさんが修理のために車を預かることは,業務上横領罪の「業務上」の行為に当たるといえます。

そして,言わずもがな今回Aさんが預り勝手に売ってしまった車は,Vさんという他人の財物です。
「占有」とは,その物を支配・管理することを指していることから,Aさんが預り管理していたVさんの車は,業務上横領罪の「自己の占有する他人の物」にあたると考えられます。

また,業務上横領罪のいう「横領」とは,不法領得の意思を実現する一切の行為をいいます(大判昭和8年7月5日)。
不法領得の意思とは,難しい言葉ですが,「他人の物の占有者が委託の任務に背いて,その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」のことであるとされています(最判昭和24年3月8日)。
つまり,他人から物を預けられた任務に背き,その物の所有者のようにふるまうことが業務上横領罪のいう「横領」行為になるのです。
今回の事例で考えてみましょう。
車を所有者であるVさんに無断で売却することは,車は修理のために預けられていることからも,任務に背いているといえるでしょう。
そして,車を売却することは,本来その車の所有者でなければできないことです。
こうしたことから,今回のAさんの行為は不法領得の意思の実現する行為といえ,業務上横領罪の「横領」に当たるといえます。
したがって,Aさんの行為には,業務上横領罪が成立する可能性が高いと考えられます。

業務上横領罪というと,会社等の金銭を横領するイメージがわきやすいかもしれませんが,業務上横領罪の対象になるのは現金等の金銭だけではありません。
このように「預かった物を勝手に処分する」といった行為も業務上横領罪になり得ることに注意が必要です。

業務上横領罪の成立に争いがない場合,被害者に対する謝罪,被害弁償をした上で早期の示談を成立させることが重要です。
示談が成立すれば,逮捕されている場合には早期の釈放が可能となる可能性も高まりますし,起訴・不起訴の判断や量刑の判断の際に有利に考慮される可能性も高まります。

業務上横領事件を含む刑事事件,特に今回のように逮捕されているような刑事事件では,早期に示談交渉を含めた弁護活動を開始することが重要です。
滋賀県業務上横領罪に問われてお困りの際は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談下さい。

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