覚せい剤の輸入は裁判員裁判ですか?①

覚せい剤の輸入事件で裁判員裁判となった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇覚せい剤の輸入事件◇

滋賀県大津市に住んでいるAさんは、以前から覚せい剤などの違法薬物に興味を持っていました。
Aさんが覚せい剤について調べたところ、SNSで知り合った海外に住むXさんが、海外から覚せい剤を送ってくれると声をかけてきました。
Aさんはその誘いに乗り、Xさんから滋賀県大津市にあるAさんの自宅宛に、覚せい剤を送ってもらうことにしました。
しかし、いくら経っても覚せい剤が届かないことからおかしいと思っていたAさんの元に、滋賀県大津警察署の警察官がやってきて、Aさんは覚せい剤取締法違反関税法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんが送ってもらった覚せい剤は、税関で止められ、検査の結果覚せい剤であると判明したことから捜査が開始されたということのようです。
(※この事例はフィクションです。)

◇覚せい剤輸入と覚せい剤取締法違反◇

覚せい剤に関わる犯罪として1番に思い浮かべられるのは、Aさんの逮捕容疑になっている覚せい剤取締法違反でしょう。
覚せい剤取締法では、覚せい剤の所持や使用だけでなく、覚せい剤の輸出入や譲渡等も禁止しています。

覚せい剤取締法
第41条 
1項 覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第41条の5第1項第2号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1,000万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。

第41条の2
1項 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。

第41条の3
1項 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者

このうち、今回のAさんは海外から覚せい剤を日本に送ってもらっているため、覚せい剤の輸入に関する罪に問われていると考えられます。
覚せい剤輸入による覚せい剤取締法違反の場合、覚せい剤輸入の目的が何だったのかによって、その刑罰の重さだけでなく、裁判の形まで大きく変わることになります。

覚せい剤取締法41条1項にあるように、単純に自分で使いたいといった理由で覚せい剤を輸入した場合には、1年以上の有機懲役となります。
罰金刑のみの規定がないことから、起訴されれば必ず公開の法廷で裁判を受けることになり、有罪となれば執行猶予がつかなければ刑務所に入ることになりますから、これだけでも非常に重い刑罰が定められていることが分かります。

しかし、覚せい剤輸入の目的が営利目的、つまり、輸入した覚せい剤を売るなどして利益を得る目的で覚せい剤を輸入したような場合には、さらに刑罰が重くなります。
覚せい剤取締法41条2項にある通り、営利目的で覚せい剤輸入行為をした場合には、無期若しくは3年以上の懲役に処され、情状によってはそれらに1,000万円以下の罰金が加えて科されます。
執行猶予がつけられる条件の1つは、言い渡された刑が3年以下の懲役であることですから、営利目的の覚せい剤輸入では、執行猶予を獲得することも難しくなってくることが分かります。
さらに、刑罰に無期懲役が加えられていることから、裁判の形も通常のものとは異なり、次回以降の記事で詳しく取り上げる裁判員裁判という裁判が開かれることにもなります。

このように、覚せい剤輸入行為の目的によって、刑罰の重さや裁判の形が大きく異なるため、覚せい剤輸入事件の場合、どういった目的で覚せい剤を輸入したのかが非常に重要となるのです。
実際には営利目的でない覚せい剤の輸入であったとしても、営利目的を疑われ、そのように捜査されることも十分考えられます。
自分の認識通りに取調べ等に対応できるよう、弁護士のサポートを受けながら対応に臨むことが効果的です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、覚せい剤の輸入などの覚せい剤取締法違反事件にも、刑事事件専門の弁護士が迅速かつ丁寧に対応いたします。
裁判となった場合、取調べでの供述が証拠となる可能性もあるため、取調べ等への対応は事件が発覚してから早い方が望ましいでしょう。
逮捕されてしまったら、出来る限り早く弁護士へご相談することをおすすめいたします。
まずはお問い合わせ用ダイヤル0120-631-881までお電話ください。

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