集団暴走による少年事件

集団暴走による少年事件

集団暴走による少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

滋賀県高島市に住んでいる高校3年生のAさんは、友人達とバイクを運転することを楽しみにしていました。
Aさんらは、複数回運転を繰り返すうち、「もっと自由にみんなで走りたい」と思うようになり、そのうち複数人で蛇行して道路を走ったり、横並びになって道路を占拠するようにしてバイクを走らせたりするようになりました。
周辺では集団暴走に困っているという通報が相次ぐようになり、滋賀県高島警察署が見回りを強化。
Aさんらがいつものようにバイクを走らせていたところ、巡回していた滋賀県高島警察署の警察官がAさんらの集団暴走行為を発見し、Aさんらは道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、警察官からの連絡でAさんの逮捕を知ると、滋賀県の少年事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・集団暴走は犯罪になる?

今回の事例のAさんは、複数人の友人達と一緒にバイクを走らせているうちに、集団暴走をしてしまって逮捕されるに至ったようです。
集団暴走行為はいけないことだ」というイメージを持たれている方は多いかもしれませんが、どのような犯罪のどの部分に当たることになるのかまでご存知の方は少ないかもしれません。
ここからは、集団暴走をするとどういった犯罪に問われることになるのか確認してみましょう。

まず、道路交通法では以下のような条文が定められています。

道路交通法第68条
2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

この条文は、一般的に「共同危険行為等の禁止」を定めているとされています。
「共同危険行為」とは、条文の中にある「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」が「道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」をすることを指します。
この共同危険行為と今回問題となっている集団暴走行為を比較してみましょう。

集団暴走行為をした場合、そもそも複数人で集団暴走行為をするわけですから、この「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」が主体になります。
そして、Aさんらは複数人でバイクを並べて道路を走らせていたわけですから、共同危険行為のいう「道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合」にも当てはまりそうです。
さらに、Aさんらはその状態で一緒になって蛇行運転や道路を占拠するように広がった形での運転をしていますが、これらは非常に危ない、もしくは迷惑になる行為と考えられますので、「共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」と考えられるでしょう。
こうしたことから、態様にもよるものの、集団暴走行為は道路交通法のいう「共同危険行為」に当てはまり、道路交通法違反となる場合が考えられるのです。

・集団暴走と少年事件

Aさんの事例のように、被疑者が未成年の場合は少年事件として処理されることになります。
少年事件では、基本的に終局処分として刑罰が科されることはありません。
しかし、だからといって何も処分されずに事件が終わるというわけではなく、少年には「保護処分」という処分が下されることが一般的です。
「保護処分」とは、簡単に言えば少年を更生させるために行われる処分のことです。
例えば、保護観察処分では、保護司や保護観察所の職員が定期的に連絡を取りながら社会内での少年の生活を見守りアドバイスすることで少年の更正を目指します。
対して、少年院送致の処分が取られれば、少年は少年院という施設の中で、今までの環境と自分を切り離して教育等を受けながら更生を目指していくことになります。
これらの処分は刑罰ではなく、あくまで少年の更正のための処分です。

集団暴走事件では、少年が集団で犯罪をしているという特徴から、少年の更正のためにその集団との距離を置くべきである=今までの環境から切り離して更生を目指すべきであるという観点から、少年院などの施設送致が検討されることも少なくありません。
もちろん、先ほど触れたように少年院に行くことは刑罰ではなく少年の更正のために行くものであるため、全く少年のためにならないことであるわけではありません。
しかし、少年院に行くということは、ある程度の期間を社会から切り離されて過ごさなければならないということでもありますから、少年の進路等によっては少年院に行くことが大きな影響を及ぼすこともあります。

だからこそ、より適切な処分を求めていくことが重要なのですが、そのためには社会内で少年が更生できるような環境を整え、その環境を主張していくことが必要です。
こうした環境調整が少年事件の弁護活動・付添人活動の特徴の1つと言えるでしょう。
少年事件独特の手続もあるため、少年事件に対応している弁護士に早い段階から相談・依頼しておくことが重要と言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件だけでなく少年事件も取り扱っている法律事務所です。
集団暴走による少年事件についてお困りの際や、少年事件についてお悩みの際には、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
逮捕されている方向けのサービスだけでなく、在宅捜査を受けている方向けのサービスもございますので、まずはお問い合わせ下さい(0120-631-881)。

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