怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に
怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県長浜市にある会社Xに勤務しているAさんは、同僚のVさんに対して好意を抱いており、Vさんにアタックするようになりました。
しかし、VさんはAさんに対して断りを入れ、Aさんは振られた形となりました。
Aさんは、Vさんが自分の好意に対して応えてくれなかったことを恨み、Vさんに対してメッセージアプリでメッセージを連続して送ったり、Vさんが帰宅する後をつけたりするようになりました。
Vさんは、Aさんにつきまといをやめるよう伝えたのですが、Aさんは意に介さず、さらにしつこくメッセージの送信やつきまといをするようになりました。
Aさんの行為に恐怖を感じるようになったVさんは、滋賀県長浜警察署に相談。
その結果、Aさんは滋賀県長浜警察署にストーカー規制法違反の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・怨恨をきっかけにしたストーカー事件
ストーカーというと、被害者に好意を持った人が被害者につきまとうといった内容が思い浮かびやすいのではないでしょうか。
たしかに、ストーカー行為を規制しているストーカー規制法(正式名称「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)でも、ストーカー行為を定義する際、恋愛感情や好意による「つきまとい等」を繰り返すことであるとしています。
ストーカー規制法第2条第4項
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。
ストーカー規制法第2条第1項
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
第1号 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
第2号 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
第3号 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
第4号 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
第5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
第6号 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
第7号 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
ストーカー規制法第2条第1項にもある通り、ストーカー行為につながる「つきまとい等」は、恋愛感情や好意に基づいたものである必要があることが定められています。
それに加えて、そういった恋愛感情や好意が「満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われる「つきまとい等」も、反復して行うことでストーカー行為となることが定められています。
つまり、単に被害者のことを好きだということでストーカー行為をすることだけでなく、例えば「振られた」ということによって逆恨みしてストーカー行為をするといった場合にも、ストーカー規制法違反となることになります。
・ストーカー規制法違反と逮捕
今回のAさんはストーカー規制法違反の容疑で逮捕されています。
ストーカー事件の場合、加害者側が被害者の連絡先や自宅を知っている場合が多く、加害者と被害者の接触を避けるなどのために逮捕や勾留によって身体拘束をした上で捜査されるというケースも少なくありません。
逮捕されてしまった場合、誰に相談することもできず取調べなどに対応することになりますから、不安や精神的負担が大きくなってしまうと予想されます。
逮捕直後から弁護士に相談し、逮捕された被疑者と面会しアドバイスをしてもらうことで、刑事手続きを知らないということによる不安を払拭することが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスなどを通じ、逮捕されてしまった被疑者へのサポートも迅速に行っています。
怨恨から発展したストーカー規制法違反事件にお困りの方、逮捕にお悩みの方は、お早めにご相談下さい。