暴力をふるってきた隣人に反撃し正当防衛で逮捕
暴力をふるってきた隣人に反撃し逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
滋賀県大津警察署は今年2月23日、滋賀県大津市在住の男(85)を隣人の男性(65)に対して過剰な防衛行為による傷害致死罪で逮捕しました。
同署によりますと、男と男性は数年にわたりご近所トラブルがあり、過去にも何度か通報があったとのことでした。
今回は口論から男性が男に暴行を加え、それに対し男が近くにあったシャベルで男性の後頭部を叩き、路上に倒れて無抵抗になった後も男は叩き続けたとのことです。
男性は救急車で運ばれ、その後死亡が確認されました。
男は通報でかけつけた警察官によって現行犯逮捕されたとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
正当防衛とは?
正当防衛は刑法第36条に規定されています。
刑法第36条
1項 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
つまり自分自身や他人に違法な侵害が実際に行われ、その危険が間近に差し迫っている緊急状況にあり、それを回避するためやむを得なく反撃する行為をいいます。
本来であれば事件に巻き込まれるおそれがある場合は、警察などの公的機関によって救済を受けますが、その救済を受ける暇がない場合は私人にも自力救済が許容されています。
喧嘩は正当防衛が成立しにくい性質を有していますが、判例によりますと、素手で喧嘩をしていたところ突然相手がナイフを持ち出した場合、一方が途中で喧嘩を放棄したにも関わらずなお続けた場合などは、正当防衛が成立しています。
また「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」の第1条では、以下の場合に正当防衛にあたると規定しています。
①窃盗や強盗から盗まれないよう、また盗まれた財物を取り返すとき
②凶器を携帯して門戸を破壊して住宅などに侵入する者を排斥するとき
③理由なく他人の住居など侵入した者、また居座った者を排斥するとき
しかし以下のような場合は正当防衛が成立しない場合があります。
①誤想防衛
客観的に正当防衛が成立する要件が成立してないにも関わらず、誤信して防衛の意思をもって反撃することです。
②過剰防衛
危機が間近にせまり正当防衛として反撃したが、その程度が度を越してしまった場合です。
相手が素手の攻撃に対し刃物で対抗するなどの質的過剰と、相手からの攻撃行為が止んだにもかかわらずそれを認識しながら強い反撃にでるなどの量的過剰があります。
今回の事例では男性がシャベルで頭部に打撃をうけ無抵抗になったにも関わらず、その後も攻撃を加えており、結果男性は死亡しております。
男に正当防衛が認められる余地があるかもしれませんが、無抵抗になった後も攻撃を続けていることから過剰防衛にあたる可能性があり、過剰防衛だと判断されるか否かで、刑罰の程度が変わってくるでしょう。
正当防衛で逮捕されてしまったら
正当防衛を証明するためには捜査機関での取調べで供述した内容がとても重要になります。
過剰防衛が疑われる場合には、当初は正当防衛だったものが、途中から殺意をもって行為に及んだのではないかと嫌疑をかけられることが予想されます。
被疑者の主観だけで判断できるものではないですが、正当防衛にあたるのかを判断するうえで、被疑者の供述はとても重要なものになります。
ですので、被疑者の供述内容次第では、その後の処分に大きく影響してくるでしょう。
弁護士の活動として、逮捕後に接見を行い、取調べ時の供述が事実と相違がないか、違法な取調べを受け供述を強要されていないかなども、弁護士が確認していきます。
意に反した供述調書の作成を防ぐことで、後の裁判を有利に進められる可能性があります。
刑事事件に精通した弁護士の専門知識と経験は、被疑者が最適な結果を得るために不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件でお困りの方のお手伝いをいたします。
フリーダイヤル:0120―631―881までお気軽にお問合せください。
またご家族や友人が逮捕されている場合は、速やかに弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
弁護士がご本人から直接事実関係などを確認した上で、現在の状況や今後の見通しについて詳しい説明をいたします。

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当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。