違法風俗店経営で風営法違反に

違法風俗店経営で風営法違反に

違法風俗店経営風営法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県草津市内で、主に男性を相手とする個室マッサージ店を経営していました。
このマッサージ店は表向きは一般のマッサージ店とされていましたが、マッサージと称して性的なサービスを個室で提供する店であり、性的サービスについては口コミなどで集客を行っていました。
するとある日、Aさんのマッサージ店に滋賀県草津警察署の警察官が訪れ、Aさんは風営法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの妻は、Aさんが逮捕されたと聞いて驚き、滋賀県内の逮捕に対応してくれる弁護士を探すと、すぐに弁護士に依頼してAさんのもとへ接見に行ってもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・違法風俗店と風営法違反

今回のAさんの逮捕容疑は風営法違反、すなわち、風営法という法律に違反したという犯罪です。
風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という法律のことを指します。
風営法では、風俗営業等に関してその営業時間や営業場所を制限したり、青少年の立ち入りを規制したりすることで、風俗業務の適正化を図ることを目的としています。
つまり、風営法のいう風俗店(風俗営業)であれば、風営法で規定されている制限や許可に従わなければ違法となるということになります。

風営法が規制の対象とする風俗営業等には、それぞれの定義を全て挙げてしまうと長くなるためここでは省略しますが、風営法第2条第1項の定義する「風俗営業」や、風営法第2条第4項が定義する「接待飲食等営業」、風営法第2条第5項が定義する「性風俗関連特殊営業」などがあります。
そのうち、「性風俗関連特殊営業」には、「店舗型性風俗関連特殊営業」、「無店舗型性風俗特殊営業」、「映像送信型性風俗特殊営業」、「店舗型電話異性紹介営業」、「無店舗型電話異性紹介営業」があります。
これらは、サービスを提供する場所や形態によってより細かく分類されることになります。

今回のAさんのケースを考えてみましょう。
Aさんのマッサージ店では、店舗で性的なサービスを提供しているようですから、提供しているサービスや場所を考えると、その実態は風営法の「店舗型性風俗関連特殊営業」に当たりそうに見えます。
店舗型性風俗関連特殊営業については、風営法が以下のように定義しています。

風営法第2条第6項
この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
第1号 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
第2号 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
第3号 専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場(興行場法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に規定するものをいう。)として政令で定めるものを経営する営業
第4号 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業
第5号 店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業
第6号 前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの

具体的に例を挙げると、いわゆるソープなどが第1号に、店舗型のファッションヘルスなどが第2号に、ストリップ劇場などが第3号に、ラブホテルなどが第4号に、アダルトグッズショップなどが第5号に、出会いカフェなどが第6号にあたる「店舗型性風俗関連特殊営業」です。
先ほど触れたように、Aさんのお店は表向きは通常のマッサージ店としているものの、実際には個室で性的なサービスを提供していることから、実質的には風営法第2条第6項のうち第2号にあたる「店舗型性風俗関連特殊営業」であると考えられるのです。

では、Aさんのお店が「店舗型性風俗関連特殊営業」であったとして何が問題になるのかというと、風営法では、風俗営業や「性風俗関連特殊営業」を行う際には管轄する都道府県公安委員会に届出を行わなければならず、風俗営業の場合は許可も必要になるということです(風営法第3条、風営法第27条)。
「性風俗関連特殊営業」の営業の届出をしなかった場合、6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科に処されます(風営法第52条)。
今回のAさんのお店は、表向きは一般のマッサージ店として営業していたようですので、本来しなければいけない風営法上の届出を出していないということが考えられます。

さらに、「店舗型性風俗関連特殊営業」は、一部の官公庁、学校、図書館、児童福祉施設やその他各都道府県が定める条例で指定された区画の周囲200メートルの区域内で営業することを禁止されています(風営法第28条)。
「性風俗関連特殊営業」を営業禁止区域内で営業した場合には、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科に処されます(風営法第49条)。
Aさんは表向きには一般のマッサージ店を経営していたため、営業禁止区域内かどうかのチェックを受けていないでしょうから、Aさんのお店がこの営業禁止区域内で営業されていたという可能性もあります。

Aさんのお店は、こういったことから風営法に違反する違法風俗店として摘発されたのだと考えられるのです。

無届営業や禁止区域内営業による風営法違反では、具体的に被害者が存在するわけではなく、示談によって解決を図ることはできません。
さらに、Aさんのように違法風俗店を経営していたといったケースでは、店の経営者や従業員など、事件関係者が複数人いることが多く、口裏合わせや証拠隠滅を防止するために、逮捕・勾留によって身体拘束されたうえで捜査されることも多いです。

こうした特性上、違法風俗店を経営したことによる風営法違反事件では、示談以外の部分、例えば再犯防止策の構築などに取り組む活動や、釈放を求める活動に迅速に取りかかることが大切です。
そのためには、逮捕されてしまったり捜査を受けたりしてから早い段階で弁護士に相談・依頼することが重要です。
可能・適切な弁護活動は、それぞれの刑事事件や被疑者・被告人自身の環境によって異なってきますから、まずは弁護士に詳しい話をしてみることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、風営法違反事件を含む刑事事件専門の弁護士事務所です。
滋賀県内の逮捕にも対応していますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。

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