(事例紹介)営業禁止地域での性的サービスにより風営法違反に
~事例~
滋賀県警生活環境課と大津署は7日、風営法違反(禁止地域営業)の疑いで、大津市の個室マッサージ店経営の中国籍の女(46)=大津市=を逮捕した。
逮捕容疑は5月19日、風俗店の営業禁止地域にある同店で不特定の男性客に性的サービスを行い、性風俗店を営んだ疑い。
(※2022年6月7日18:20京都新聞配信記事より引用)
~風営法と営業禁止地域~
ご存知の方も多いと思いますが、性的サービスを提供する場合には、風営法(正式名称「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)の「風俗営業」や「性風俗関連特殊営業」、「店舗型性風俗特殊営業」や「無店舗型性風俗特殊営業」、「映像送信型性風俗特殊営業」などとされ、風営法の規制を受けます。
今回取り上げた事例では、逮捕された女性は経営していた個室マッサージ店で性的サービスを行っていたということですが、個室で性的サービスを提供する営業は、上記で挙げたうちの「店舗型性風俗特殊営業」に当たると考えられます。
風営法第2条第6項
この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
第2号 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
そして、この「店舗型性風俗特殊営業」は、風営法で営業が禁止されている地域が存在しますが、今回取り上げた事例では、その営業禁止地域内で「店舗型性風俗特殊営業」をしてしまったことによって風営法違反の容疑がかけられているようです。
風営法では、以下のように性風俗に関連した営業を行う地域を一定程度規制しています。
風営法第28条
第1項 店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項に規定するものをいう。)、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。)、図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。
第2項 前項に定めるもののほか、都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。
簡単に言えば、風営法では、官公庁施設や学校、図書館や児童福祉施設などの周囲200メートル以内で「店舗型性風俗特殊営業」を営むことを禁止しています。
ですから、今回の事例では、逮捕された女性はこの禁止区域内で「店舗型性風俗特殊営業」を営んでしまったということでしょう。
こうした営業禁止区域内での営業による風営法違反は、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」するとされています(風営法第49条第5号・6号)。
また、こうした営業禁止区域内での営業による風営法違反事件の場合、そもそも風営法に定められている「店舗型府性風俗特殊営業」の届け出をせずに無届営業をしていたというケースも考えられます。
届出をしていた場合、届出の段階で営業禁止地域内であることが分かるはずですから、それが発覚していないということはそもそも届出をしていないということが考えられるためです。
そうした場合には、無届営業による風営法違反も成立してしまうため、事件が複雑になってしまうことも予想されます。
早い段階から弁護士に相談し、見通しや手続、適切な対応について把握しておくことをおすすめします。
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