(事例紹介)12歳の女性に現金を渡して性交し強制性交等罪に

(事例紹介)12歳の女性に現金を渡して性交し強制性交等罪に

~事例~

滋賀県警東近江署は22日、強制性交、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで、大阪府東大阪市、会社員の男(43)を逮捕した。
逮捕容疑は、2021年1月21日午後0時10分~同4時20分までの間、滋賀県東近江市内のホテルで、中学1年だった滋賀県在住の女性=当時(12)=が13歳未満と知りながら、現金2万5千円を渡し、わいせつな行為をした疑い。
同署によると、少女は男とSNSを通じて知り合ったという。
男は「13歳以下の女性と性交したことはない」と容疑を否認しているという。
(※2022年6月22日19:31京都新聞配信記事より引用)

~強制性交等罪と被害者の年齢~

今回取り上げた事例では、逮捕された男性は強制性交等罪児童買春禁止法違反の容疑をかけられています。
未成年にお金を渡して性交をすれば、児童買春の罪にあたるということは、比較的知られていることではないでしょうか。
今回の逮捕された男性が問われている児童買春禁止法違反の部分は、まさにこの未成年にお金を渡してわいせつな行為をしたという部分にかかっているものでしょう。

対して、この事例で強制性交等罪の容疑がかかっているということに疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
強制性交等罪は、旧刑法では強姦罪として規定されていた犯罪であり、「無理矢理性交等をすることで成立する犯罪である」というイメージが強いでしょう。
そのため、いわゆる児童買春をしたのであれば、相手の同意があってしたことであり、強制性交等罪にあたらないのではないかと考えられる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、強制性交等罪では、一般にイメージされる「無理矢理性交等をした」以外にも成立する要件が定められています。

刑法第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪を定めている刑法第177条の前段部分は、簡単に言えば先ほどから触れている「無理矢理性交等をすると強制性交等罪が成立する」ということを指しています。
しかし、この前段部分には「13歳以上の者に対し」という限定がついています。
この前段部分の対象とならない13歳未満の者が相手だった場合はどうなるのかというと、刑法第177条の後段にある通り、「性交等をした」場合に強制性交等罪が成立します。
すなわち、相手が13歳未満であった場合、たとえ暴行や脅迫が用いられずとも=無理矢理でなくとも、性交等をしただけで強制性交等罪が成立することになるのです。
この13歳という年齢は、昨今「性交同意年齢」と言われて話題に上がることもあります。

今回取り上げた事例を見てみると、男性は13歳未満の少女と性交等をしたことで強制性交等罪の容疑をかけられているのだと考えられます。
先ほど触れた通り、少女の年齢が12歳であれば、少女がその行為に同意していたとしても、性交等をした段階で強制性交等罪に当たる行為となります。
ただし、報道によれば男性は容疑を否認しているようですから、少女が13歳未満である認識がなかったという主張をしている可能性があります。
こうした場合、男性には強制性交等罪の故意がないということになりますから、本意ではない供述をしないようにするためにも、弁護士から随時アドバイスを受けながら、取調べ対応などを慎重に行う必要があるでしょう。

昨今は、SNSの発達・普及によって、SNSを通じて未成年者と関係を持ち、身体の関係まで発展してしまうという性犯罪事件も多く発生しています。
こうした児童買春事件や強制性交等事件では、被害者との接触を避けるために逮捕されて捜査されるというケースも少なくありませんから、まずは弁護士のサポートを受けてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスをご用意しておりますので、ご家族が逮捕されてしまって状況が分からない、逮捕された方の力になりたいという場合にもスピーディーに対応が可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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