【事例紹介】業務上横領罪で逮捕 滋賀県湖南市
滋賀県湖南市で起きた業務上横領事件を基に、業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警捜査2課と甲賀署は11月30日、業務上横領の疑いで、滋賀県甲賀市、アルバイトの女(54)を逮捕した。
逮捕容疑は、湖南市の石部自動車教習所に経理担当事務員として勤めていた2020年4月4日と8日、入所者から預かった教習料金計60万円を着服した疑い。
県警によると、(中略)県自動車協同組合が(中略)入所者らから受領した料金計5400万円を横領したとして県警に告訴していた。女は「生活費や旅行代金などに使った」と話しているという。
(11月30日 京都新聞 「自動車教習所パートの女、横領疑いで逮捕「生活費や旅行代金などに使った」」より引用)
業務上横領罪
刑法第253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪を簡単に説明すると、業務上、自分が管理している他人のお金などを取った際に成立する犯罪です。
今回の事例では、容疑者が勤務していた自動車教習所から60万円を着服したと報道されています。
報道によれば、容疑者は過去に経理担当事務員として勤務しており、教習料金を入所者から預かっていたようですから、おそらく教習料金など自動車教習所内の金銭の管理を業務として行っていたのでしょう。
また、容疑者が着服したとされている60万円は入所者から教習料金として預かったものであり、容疑者のものではありません。
業務により、自分が管理している他人のお金を着服した場合は業務上横領罪にあたりますので、報道が事実であれば、容疑者の行為は業務上横領罪に該当するといえます。
業務上横領罪の量刑
業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役です。
しかし、業務上横領罪にあたる行為を実際に行っていたからといって、必ず刑務所に行くというわけではありません。
例えば、過去には、男性職員が労働組合費66万円を競馬に使い、業務上横領罪の疑いで書類送検された事件が起こっていますが、この業務上横領事件では、男性職員に対して不起訴処分の判断が下されています。(2022年9月17日 京都新聞 「労働組合費66万円を競馬に使い込み 京都市が職員処分「収入限られ」」より)
被害金額がどれほどのものか、被害弁償はできているのかなど、様々な事情によりますが、業務上横領罪でも不起訴を目指すことが全くできないというわけではないのです。
業務上横領罪の条文を見ていただければ分かる通り、業務上横領罪は有罪になると、執行猶予が付かない限り刑務所に入らなければなりません。
今回の事例では、報道によると容疑者は60万円を着服した疑いで逮捕されていますが、報道では着服額を5400万円として告訴されているという話も出てきています。
被害額が高額であれば、それだけ厳しい処分が下されやすくなりますから、実際の着服額が5400万円であり、残りの額についても業務上横領罪で立件された場合には、実刑判決が下される可能性が高まるといえるでしょう。
また、着服額が逮捕容疑のとおり60万円だった場合であっても、必ず不起訴処分を得られるとは限りませんので、こちらの場合でも懲役刑が下される可能性はあります。
しかし、示談や賠償をすることで執行猶予や不起訴処分の獲得を望める場合があります。
示談や賠償を行う際には、トラブルを避けるためにも弁護士を付けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強い法律事務所です。
業務上横領罪でお困りの際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。