【事例紹介】死亡事故、労働安全衛生法違反で書類送検

【事例紹介】死亡事故、労働安全衛生法違反で書類送検

滋賀県で起きた労働安全衛生法違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県東近江労働基準監督署は2日、労働安全衛生法違反の疑いで、京都府八幡市のリサイクル会社と滋賀県湖南市の同社滋賀営業所の男性所長(47)を書類送検した。

書類送検容疑は、(中略)作業員(74)がフォークリフトにひかれ、死亡した事故で、フォークリフトと接触する恐れのある場所に作業員を立ち入らせない措置を講じなかった疑い。
(9月2日 京都新聞 「フォークリフトにひかれ作業員死亡、京都・八幡のリサイクル会社を書類送検」より引用)

労働安全衛生法

労働安全衛生法第21条
1、事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2、事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

フォークリフトは荷役作業(荷物の運搬作業)に使われます。
また、労働安全衛生法では、荷役に生じる危険を防止するための措置の実施を義務付けています。

今回の事例ではフォークリフトにより事故が起きており、フォークリフトは荷役作業に使用されますので、事例の事故当時は荷役作業中だったと考えられます。
前述したように、荷役作業で生じる危険については防止措置を講じる必要がありました。
今回の事例では、「フォークリフトと接触する恐れのある場所に作業員を立ち入らせない措置を講じなかった」と記載されていることから、荷役作業の危険防止措置が講じられていなかったことが伺えます。
繰り返しになりますが、荷役作業に生じる危険に対して防止措置を講じることは事業者に科される義務です。
ですので、防止措置を講じなかった場合は、労働安全衛生法違反になります。
労働安全衛生法第21条に違反し有罪になった場合は、6月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されます。(労働安全衛生法第119条)

では、実際に労働安全衛生法第21条で違反した場合はどのような量刑が科されるのでしょうか。
実際の事件を基に解説していきます。
※ご紹介する事件は労働安全衛生法第21条第2項に違反した事件です。今回の事例とご紹介する事件では事件内容が異なります。

この事例では、段ボール製造販売会社の工場で、屋根上の清掃作業をしていた男性が屋根の板部分を踏み抜き地面に墜落し死亡しました。
墜落防止措置を講じていなかったとして、労働安全衛生法違反の容疑で会社と次長が書類送検されました。
その後、会社と次長には、略式手続により罰金20万円が科されました。
(2021年12月2日 京都新聞 「屋根を踏み抜いて墜落死、会社と次長に罰金20万円の略式命令」より)

労働安全衛生法第21条第2項では、墜落するおそれのある場所の危険を防止する措置を講じなければならないと規定されています。
男性が墜落死した事件では、「墜落防止措置を講じていなかった」と記載されていることから労働安全衛生法第21条第2項に違反していると考えられます。

労働安全衛生法第21条第2項に違反した場合は、同条の第1項と同様の量刑が科されます。
ですので、今回の事例とご紹介した事件では事件内容や根拠となる条文が異なりますが、今回の事例でもご紹介した事件と同様に罰金刑が下される可能性があります。
罰金刑は前科になります。
前科が付いてしまうと資格のはく奪や、新しく資格を取得できなくなるおそれがあります。
早期に弁護士に相談し、弁護士が検察官に働きかけを行うことで不起訴処分を得られる可能性や、刑罰を軽減できる可能性があります。
労働安全衛生法違反でお困りの方は、刑事事件を多数取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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