【事例紹介】自宅に放火し同居の父親に軽傷を負わせた事例

マッチで放火しようとしている男性

木造2階建ての自宅に放火して全焼させたとして現住建造物等放火罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警甲賀署は(中略)、現住建造物等放火の疑いで、滋賀県甲賀市、無職の男(39)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)木造2階建ての自宅の室内に火をつけ、全焼させた疑い。
同署によると、同居する父親(66)が喉に軽傷を負ったという。
(11月25日 京都新聞 「自宅に放火、全焼させた疑いで39歳男を逮捕 66歳父親が喉に軽傷」より引用)

現住建造物等放火罪

刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

現住建造物等放火罪は、簡単に説明すると、人が暮らしている住居や人がいる建物などに放火し、建物が焼損した場合に成立します。

今回の事例では現住建造物等放火罪が成立するのでしょうか。

まずは、今回の事例の木造2階建ての自宅が現住建造物等にあたるのかどうかを考えていきましょう。

人が現在暮らしている家を現住建造物、人がいる建物を現在建造物といいます。
また、現住建造物や現在建造物、汽車や電車などをひっくるめて現住建造物等といいます。

報道によると自宅に火をつけたとされていますので、木造2階建ての家に容疑者が住んでいることになります。
であれば、人が暮らしている家にあたりますから、現住建造物等にあたると考えられますが、現住建造物等放火罪が規定する人に放火した本人は含まれません。
そうなると、今回の事例の木造2階建ての家は現住建造物等にあたらないのでしょうか。

今回の事例では、同居する父親が喉に軽傷を負ったと報道されています。
容疑者の父親も木造2階建ての家に住んでいたようですので、事例の木造2階建ての家は現住建造物等に該当するでしょう。

次に放火とはどのような行為を指すのでしょうか。

放火とは大雑把に言うと、火をつける行為をいいます。
例えば、公園の草に火をつける行為や民家を燃やすために投げ込むための新聞紙に火をつける行為などが放火にあたります。
トラッキング現象や火の不始末などによる火災ではなく、実際に容疑者が自宅の室内に火をつけたのであれば、放火したといえるでしょう。

では、事例の木造2階建ての自宅は焼損したといえるのでしょうか。

焼損とは、火が火を付けるための媒介物を離れて、目的物が独立に燃焼を継続する状態だとされています。
報道からでは、木造2階建ての自宅がどのように全焼したのかが明らかではありませんが、木造2階建ての自宅が全焼しているわけですから、火が木造2階建ての自宅に燃え移って木造2階建ての自宅が独立して燃えた、すなわち焼損したといえるでしょう。

ですので、実際に容疑者が木造2階建ての自宅の室内に放火したのであれば、現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。

現住建造物等放火罪と弁護活動

現住建造物等放火罪は有罪になると、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役が科されるなど、かなり科される刑罰の重い犯罪だといえます。
また、現住建造物等放火罪裁判員裁判の対象となる事件ですので、現住建造物放火罪で起訴された場合には原則として裁判員裁判により裁かれることになります。
裁判員裁判は通常の刑事裁判とは手続きなどが異なりますので、裁判員裁判に向けた弁護活動が重要になってきます。

裁判員裁判と通常の刑事裁判の大きな違いとして、公判前整理手続が行われること、国民の中から選ばれた裁判員が裁判に参加することの2点が挙げられます。

公判前整理手続では、争点の明確化や証拠の整理などが行われます。
原則として、公判前整理手続後に証拠を提出することはできないため、公判前整理手続までに被告人に有利に働くような重要な証拠を集め、重要な証拠かどうかを見極めることが重要になります。

また、裁判員裁判では、裁判官と国民からなる裁判員の双方の意見を含む過半数の意見で判決が決定します。
ですので、裁判官だけでなく裁判員に対しても、主張を伝える必要があります。
裁判員は一般国民から選ばれますので、法律に明るくない方も当然いらっしゃいます。
そういった方にも伝わるような、弁論が重要になってきます。

加えて、裁判員の心象も判決に影響を与える可能性があります。
このように、裁判官だけでなく、裁判員に対してもアピールも必要になってきますから、裁判員裁判が開かれる場合には、刑事事件に精通した弁護士を選任することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士に相談をすることで、科される罪の減刑など、より良い結果を得られるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っていますので、現住建造物等放火罪などの刑事事件でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631-881で受け付けております。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー