子どもが未成年相手に強制わいせつ事件を起こしてしまった
子どもが未成年相手に強制わいせつ事件を起こしてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県高島市に住む高校2年生のAさんは、近所に住んでいる中学生1年生で12歳のVさん(女子)と交流がありました。
ある日、Aさんは、女の子の体に興味がわき、Vさんの服の中に手を入れ、胸や臀部を触りました。
Vさんは特に嫌がるそぶりを見せず、「くすぐったい」等と言って笑っていました。
Aさんはこの行為についてただのじゃれあいで終わったと問題視することはなかったのですが、Vさんが帰宅後、そのことを両親に話したことがきっかけとなり、滋賀県高島警察署に被害届が出され、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で任意同行され、取調べを受けることになってしまいました。
Aさんの両親はまさか自分の息子が性犯罪を犯すとは思わず、どうしてよいか分かりません。
さらに、取調べから帰宅したAさんに「Vさんは嫌がっていなかったし笑っていた。無理矢理触るようなことはしていない」と言われ、さらに困惑しています。
(※この事例はフィクションです。)
・子どもが未成年者相手に強制わいせつ事件を起こした
強制わいせつ罪は、刑法第176条に定められている犯罪です。
刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪の条文の前段部分では、13歳以上の者に対し暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をした者を、6月以上10年以下の懲役に処するとしています。
また、強制わいせつ罪の条文の後段部分では、13歳未満の者にわいせつな行為をした者についても、同様とするとしています。
すなわち、13歳未満の者にわいせつな行為をした場合、相手方の同意の有無や、暴行や脅迫の有無にかかわりなく、強制わいせつ罪が成立するということになります。
したがって、上記事例の被害者であるVさんは12歳=13歳未満ですから、AさんがVさんの体に触れる行為について、Vさんが同意していようがいまいが、強制わいせつ罪にあたる行為となると考えられるのです。
ちなみに、強制わいせつ罪は「わいせつな行為」をしたときに成立するものですから、AさんがVさんの身体に触れる行為が「わいせつな行為」でないとすれば成立しないことになります。
しかし、この「わいせつ」については、「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」であると考えられています(名古屋高裁金沢支部判決昭和36.5.2)。
通常、人の衣服の中に手を入れて胸部や臀部を触るという行為は、この定義に当てはまる行為でしょう。
こうしたことから、Aさんの行為は強制わいせつ罪の「わいせつな行為」であると考えられ、やはりAさんには強制わいせつ罪が成立する可能性があるということになるのです。
また、今回の強制わいせつ事件では、加害者・被害者ともに未成年ですが、Aさんには強制わいせつ罪が成立することの妨げとはなりません。
ただし、Aさんが20歳未満であることから、この事件は少年事件として扱われ、最終的には家庭裁判所で調査・審判(必要だと認められる場合には観護措置も)を受け、処分が決定されることになります。
・未成年者の強制わいせつ事件と示談
強制わいせつ事件では、上記事例のVさんがそうであるように被害者の方が存在し、そのような事件で弁護士に弁護活動を依頼した場合、示談交渉に臨むことになる場合が多いです。
Aさんの事件は少年事件ですから、示談交渉の結果が、成人の事件のように処分についてすぐに効果が出やすいわけではありませんが、それでも、被害者の方に謝罪・弁償を行うことは、少年の更生のためにも、被害者の方の今後のためにも重要です。
しかし、今回の被害者であるVさんは未成年ですから、示談交渉の相手はVさんのご両親ということになるでしょう。
お子さんが被害に遭われたご両親が示談に応じてくれるのか、そもそも話し合いの場についてくれるのかと不安な場合こそ、専門家である弁護士に相談しましょう。
弁護士であれば、客観的な立場と専門的な知識・経験に基づいて、双方が納得できる示談締結を目指して交渉していくことができますし、被害者としても、弁護士であれば被害者の情報を勝手に加害者側に漏らすという心配もありませんから、安心して話をすることができるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件専門の弁護士が、初回は無料の法律相談を行っています。
未成年相手に性犯罪事件を起こしてしまったがなんとか謝罪したい、とお悩みの方は、まずは弊所の弁護士まで、ご相談ください。