コンビニで消火器を使用し逮捕①
コンビニ店内において、嫌がらせ目的で消火器を使用した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
滋賀県大津市に住むAさんは、自宅に近いコンビニを利用中、些細なことから店員と喧嘩になりました。
Aさんは店員の態度に立腹し、店内にあった消火器を使用し、店内を粉末だらけにしてしまいました。
威力業務妨害罪
威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害するおそれのある行為をすることで成立する犯罪です。
法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。(刑法第234条)
威力とは、人の意思を制圧するような勢力をいい、暴行や脅迫はもちろん、社会的地位、経済的地位、権勢を利用した威迫、多衆・団体の力の誇示、物の損壊など、およそ人の意思を制圧するに足りる勢力の一切をいいます。
人に向かって消火器が放射されれば暴行にあたりますし、コンビニ店内で放射することで放射された消火器の粉末で店内が汚れてしまいます。
コンビニの店内で消火器を放射する行為は、営業を続けたいという店員の自由意志が制圧されると考えられるので、威力に該当する可能性が高いと思われます。
業務とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業をいいます。
コンビニの営業が業務に該当することに異論はないと思われます。
威力業務妨害罪が規定する「妨害した」とは、現実に業務遂行が妨害されることは必要ではなく、これらに対する妨害の結果を発生させるおそれのある行為が足りると解されています。
事例の場合、消火器の粉末が片付くまでコンビニの営業を中止せざるを得ないと考えられるので、妨害に該当する可能性が高いでしょう。
以上の事実関係によれば、Aさんは、威力を用いて(消火器をコンビニ店内で放射し)、他人の業務を妨害したものということができると考えられます。
したがって、Aさんに威力業務妨害罪が成立する可能性は高いでしょう。