高齢者虐待事件で逮捕
高齢者虐待事件で逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
滋賀県彦根市に住んでいるAさんは、認知症を患う母親のVさんと暮らしています。
Aさんは介護疲れから、言うことを聞かないVさんに暴力をふるってしまいました。
そうしたことが続いたある日、Vさんの利用するデイサービスの施設職員がVさんの身体の痣に気づき、滋賀県彦根警察署に相談。
滋賀県彦根警察署の捜査の結果、Aさんの暴行が明らかになり、Aさんは高齢者虐待事件を起こしたとして、傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの兄弟は、Aさんの逮捕を受け、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・高齢者の虐待
「虐待事件」というと、児童虐待が取り上げられることも多いですが、今回のAさんの事例のような高齢者虐待事件も少なくありません。
滋賀県の2018年度の調査結果では、市町に寄せられた高齢者虐待の相談・通報件数は604件に上ったとのことです。
相談・通報の内訳としては、今回のAさんの事例のように高齢者虐待の加害者が家族や親族であったケースが569件、施設職員であったケースが35件で、このうち市町が実際に高齢者虐待であると判断したのは、加害者が家族・親族とされたケースのが350件、施設職員が高齢者虐待の加害者とされたケースで17件だったとのことです。
さらに、家族や親族から高齢者虐待を受けていたケースでは、その被害者のうち60パーセント以上が認知症若しくは認知症の疑いのある人だったとのことでした(以上、令和2年1月30日京都新聞配信記事より)。
こうした高齢者虐待行為は、「高齢者虐待」として犯罪になっているわけではありませんが、虐待行為の態様によって、刑法等に規定されている犯罪となります。
例えば、前述の滋賀県の調査結果では、虐待の種別として、暴力や拘束などによる身体的虐待が60パーセント以上、暴言といった心理的虐待が30パーセント以上、介護放棄が20パーセント以上といった回答結果となっています(複数回答)。
今回のAさんの高齢者虐待事件のような暴行による身体的虐待の場合、刑法の暴行罪や傷害罪といった犯罪の成立が考えられます。
刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
今回のAさんの事例では、AさんはVさんに暴行を加えているため、少なくとも暴行罪は成立すると考えられます。
そして、Vさんには痣ができていることから、その暴行によりVさんに怪我が生じていれば、傷害罪の成立も考えられることになります。
なお、先ほどの高齢者虐待行為の種別として挙がっていた暴行等による身体的虐待以外の種別では、暴言などの心理的虐待でも傷害罪や侮辱罪といった犯罪の成立が、介護放棄では保護責任者遺棄罪といった犯罪の成立が考えられることとなります。
高齢者虐待事件では、どういった行為がどの犯罪に当たるのかも詳しく検討しなければなりませんから、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、逮捕された方向けの初回接見サービスや、在宅捜査を受けている方向けの無料法律相談に土日祝日も対応しています。
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