個室マッサージ店で風営法違反②~禁止区域営業
~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県長浜市で男性向けの個室マッサージ店を経営していました。
そのマッサージ店は、表向きはあくまでマッサージを行う店として営業していましたが、実際には、一定額以上の料金を支払った客に対して性的サービスを提供していました。
ある日、滋賀県長浜警察署の警察官がやってきて、Aさんや従業員は、風営法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの個室マッサージ店が性的サービスを提供していると通報があり、そこから捜査されていたようです。
Aさんは、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に、風営法のどの部分に違反しているのか、見通しはどういったものになるのかを詳しく聞いてみることにしました。
(※令和元年6月18日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・禁止区域営業
前回の記事では、Aさんが実質的に風営法のいう「風俗営業」にあたる営業を行っていたことから、風営法の規定にのっとった営業が求められること、そしてそのためには、営業を行う際に各都道府県の公安委員会に許可をもらわなければいけないこと、その許可を取らずに無許可営業をしていたAさんには風営法違反が成立する可能性があることに触れました。
今回の記事ではまず、Aさんに無許可営業以外の風営法違反が成立する可能性があるかどうかに触れていきます。
風営法は、風俗営業をする際に各都道府県の公安委員会に許可を取ることを求めていますが、風俗営業への規制はそれだけではありません。
例えば、以下のような規定も存在します。
風営法28条
1項 店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(略)、学校(略)、図書館(略)若しくは児童福祉施設(略)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲200メートルの区域内においては、これを営んではならない。
2項 前項に定めるもののほか、都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。
つまり、風営法では、風俗営業の中でも店舗型性風俗特殊営業にあたるものについて、特定の場所から一定の距離をおいて営業することを定めているのです。
前回の記事で触れた公安委員会の許可を受ける際、こうした禁止区域営業であればそこで指摘を受けることが考えられますが、無許可営業で店舗型性風俗特殊営業をしていた場合には、そうした過程を踏んでいないためにチェックを受けることができず、禁止区域営業となってしまっていることもあるでしょう。
Aさんの場合も、経営していたマッサージ店がこの禁止区域内にあれば、風営法のこの部分にも違反することになります。
なお、風営法28条2項にあるように、こういった禁止区域は各都道府県の条例でも定められていることがあります。
滋賀県でも、「滋賀県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」という条例があり、これによってより詳細な禁止区域が設定されています。
こうした禁止区域営業による風営法違反の場合、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」されることになります(風営法49条5号、6号)。
・風営法違反事件での弁護活動
前回取り上げた無許可営業や、今回取り上げた禁止区域営業等による風営法違反事件では、痴漢や盗撮、窃盗や傷害といった刑事事件のように、明確に被害者が存在するわけではありません。
ですから、被害者の方に謝罪し被害弁償をして示談することによって釈放を目指したり刑の減軽を目指したりすることがかないません。
そうなると、なかなかどういった弁護活動をすべきなのか、してもらうべきなのか想像しづらいところがあるかと思います。
だからこそ、風営法違反事件に御困りの際は、刑事事件に強い弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱う弁護士が逮捕されている方・在宅捜査を受けている方どちらに対しても迅速に対応を行います。
まずは0120-631-881までお問い合わせください。