迷惑メールを送って偽計業務妨害罪に
迷惑メールを送って偽計業務妨害罪に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、滋賀県長浜市で不動産仲介業を営んでいます。
しかし、最近は近くで営業している競合他社であるV社に成績を抜かれているようです。
そこでAさんは、V社の営業を邪魔してやろうと企み、客を装ってV社に大量の嘘の問い合わせメールを送り続けました。
V社の担当者が、メールに返信しても相手に届かなかったり、アポイントを取った日時に客が表れなかったりといったことが相次いだことを不審に思い、滋賀県長浜警察署に迷惑メールが大量に送られてきていると相談。
そのことをきっかけにして滋賀県長浜警察署が捜査を開始し、結果としてAさんは偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されたという連絡を受けて驚き、滋賀県の刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・偽計業務妨害罪
偽計業務妨害罪とは、刑法に定められている犯罪の1つです。
刑法第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法ではこの偽計業務妨害罪の他に威力業務妨害罪という業務妨害罪も定めていますが(刑法第234条)、威力業務妨害罪が「威力」を用いて人の業務を妨害することで成立するのに対し、偽計業務妨害罪は「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて」人の業務を妨害することで成立します。
業務妨害行為の手段の部分が「威力」なのか「偽計」なのかによって成立する業務妨害罪の種類が異なるのです(ただし、刑罰の重さはどちらも変わりません。)。
では、「偽計を用いる」とはどういったことでしょうか。
「偽計を用いる」とは、人を欺き、誘惑し、又は、人の錯誤・不知を利用することであると解釈されています。
上記事例にあてはめて考えてみましょう。
Aさんは、客を装った迷惑メールを大量に送っています。
V社は、その迷惑メールを客から来たメールであると錯誤し、迷惑メールに対応しています。
客を装った迷惑メールに返信したり、アポイントを取って対応したりしているわけですから、V社は本来対応しなくてもよいものへの対応に時間を割かれて業務量が増え、やるべき業務に手を付けられなかったり、
迷惑メールの対応をした時間・労力で行えたはずの業務でできたはずの業務ができなかったりしたと考えられます。
すなわち、迷惑メールへの対応でV社の業務が妨害されていると考えられるのです。
迷惑メールは客を装ったものであり、V社は本物の客からのメールであると騙されているため、Aさんの業務妨害行為の手段は「偽計」を用いたものであり、Aさんの行為は偽計業務妨害罪にあたると考えられるのです。
偽計業務妨害事件では、業務妨害行為による被害額や前科・前歴などによって刑罰が決まると考えられます。
被害が少なかったり、示談の締結ができていたり、初犯であったりという事情があれば、不起訴の獲得や罰金での事件終了も目指すことができる可能性があります。
当然こういった事情は偽計業務妨害事件ごとに異なる事情ですから、まずは弁護士に自身のかかわった偽計業務妨害事件の詳細を全て話してから見通しや可能な活動を聞いてみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、偽計業務妨害事件を含む刑事事件のご相談・ご依頼を受け付けています。
0120-631-881では、専門スタッフが24時間いつでもお問い合わせを受け付けています。
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