未成年への性犯罪と示談
未成年への性犯罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
〜事例〜
滋賀県近江八幡市に住んでいる30代の男性会社員Aさんは、動画配信アプリを通じて女子高生であるVさんと知り合いました。
Vさんと親しくなったAさんは、Vさんと個別にやり取りするようになりましたが、その中でVさんが「Aさんと直接会って話してみたい」と言ったことから、AさんはVさんと会うことになりました。
AさんはVさんに自宅に来るよう誘い、Vさんがその誘いに乗って Aさん宅に行ったところ、Aさんは嫌がるVさんを押さえつけると胸や尻を触るなどしました。
VさんはどうにかAさんの隙を見て逃げ出し、近くにあった滋賀県近江八幡警察署の交番に助けを求めました。
その後、Aさんは滋賀県近江八幡警察署に強制わいせつ罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、どうにか示談等により解決できないかと思っていますが、逮捕されたままではどうにもできず、困っています。
(※この事例はフィクションです。)
・強制わいせつ罪とは
まずは、今回のAさんの逮捕容疑である、強制わいせつ罪について確認しておきましょう。
刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
今回のAさんは女子高生であるVさんに対して、Vさんを押さえつけて胸や尻を触るという行為をしています。
強制わいせつ罪にいう「暴行又は脅迫」は、相手の抵抗を押さえつける程度の強さがなければならないとされています。
この「暴行」は、殴る蹴るといった「暴力をふるう」という意味だけではなく、押さえつけるなどの「有形力の行使」を指しています。
この暴行の程度については、加害者と被害者の性別や年齢、体格、犯行場所などの事情も考慮して判断されます。
例えば、今回のAさんは30代の男性であり、被害者であるVさんは女子高生で、犯行現場もAさんの自宅であることから、Aさんに押さえつけられてしまえばVさんとしては抵抗できなくなってしまったことと予想されます。
こうしたことからAさんの押さえつけるという行為は強制わいせつ罪の「暴行」にあたり、それをもってVさんの体を触って「わいせつな行為」をしたAさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられるのです。
・未成年への性犯罪と示談
今回の事例では、Aさんの起こした強制わいせつ事件の被害者は、未成年であるVさんです。
こうした場合、謝罪や弁償をして示談をしたいと思っても、Vさん本人と示談交渉することはできず、Vさんの保護者と示談交渉をすることになるでしょう。
しかし、自分の子供が強制わいせつ事件の被害にあったとなれば、保護者の方としても処罰感情が大きいことは当然のことであり、当事者同士で謝罪や示談交渉をすることでかえってこじれてしまうということも十分考えられます。
そもそも、被害者側から当事者とやりとりはしたくないと連絡を取ることを拒否されることも少なくありません。
捜査機関としても、加害者本人やその関係者に被害者側の情報を教えることをよしとしないことが多く、そうした場合には一切謝罪や示談交渉のためのコンタクトも取れないということになります。
だからこそ、弁護士のサポートが有効となると考えられます。
弁護士限りでの話し合いとすることで、被害者側としても加害者側に個人情報が漏れることなどを心配せずに話を聞くことができるため、当事者同士の謝罪・示談交渉よりも話し合いの場を持たせてもらえる可能性が出てきます。
そして、弁護士であれば適切な示談交渉・示談締結が可能です。
いざ示談締結となっても、法律知識のない状態で示談をして示談書に法律的な抜けがあっては双方に迷惑がかかってしまいます。
その点、弁護士であれば法律的に抜けのない適切な示談を行うことができます。
今回のAさんのケースのように、当事者が逮捕されているような場合には、示談締結によって釈放を求める活動にも有利な事情となることが考えられます。
もちろん、容疑を否認しているような場合には慎重に方針を検討する必要が出てきますが、容疑を認めている場合には、弁護士と相談しながら示談についてもサポートを受けることが釈放や処分の軽減を求めるうえで1つの有効な手段でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強制わいせつ事件のご相談や示談交渉についてのご相談も承っています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。