夏休み中の違法バイトで詐欺事件①

夏休み中の違法バイトで詐欺事件①

Aさんは、滋賀県東近江市に住んでいる17歳の高校2年生です。
8月に入り、夏休みであったAさんは、時間を持て余し、この機会にバイトをして小遣いを稼ごうと考えました。
そこでAさんは、インターネットやSNSでバイトを探し始めたのですが、そこに「夏休みの間だけでOK!簡単な集荷・配達で稼げる!」といったあおり文句の自宅近くでできるバイト募集が見つかりました。
Aさんはこれ幸いとそのバイトに応募しました。
そのバイトは、指示された家に向かい、住人から荷物や封筒を受け取り、また指示された場所にもっていくというものでした。
そうした仕事内容から、Aさんは「もしかすると何か怪しい仕事なのかもしれない」と思いましたが、「そんなことないだろう」と思い直し、バイトの仕事を受けました。
その後、Aさんは夏休みの間しばらくこのバイトを続けましたが、ある日自宅に滋賀県東近江警察署の警察官が訪れ、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
どうやらAさんの行っていたバイトは、特殊詐欺の「受け子」をする違法バイトだったようです。
(※この事例はフィクションです。)

・違法バイトで詐欺事件

多くの学校が夏休みとなるこの季節、Aさんのように「夏休み中にバイトをして稼ごう」と考える学生の方も多いのではないでしょうか。
しかし、バイトの内容をきちんと確かめずにしてしまうと、違法バイトにかかわり、刑事事件少年事件となってしまうこともあるかもしれません。

Aさんのしていたバイトは、どうやら特殊詐欺の「受け子」であったようです。
特殊詐欺とは、オレオレ詐欺に代表される振り込め詐欺や、ギャンブル必勝法提供詐欺などの振り込め類似詐欺をまとめて呼ぶものとされています。
そしてその特殊詐欺はグループで犯行をしており、役割分担をしていることが多いようです。
その役割のひとつが「受け子」といわれるもので、これは詐欺の被害者から金品を受け取る役割です。
「受け子」は詐欺事件の被害者と直接顔を合わせる役割であることから、詐欺事件が検挙されるきっかけとなりやすい役割です。
そうしたことから、詐欺グループの中には学生などのバイトを「受け子」として働かせ、詐欺が摘発されればいわゆるトカゲのしっぽのように扱う、というところも見られるのです。
学生が自由にできる時間の増える夏休みだからこそ、こうした違法バイトにも気を付けなければなりません。

さて、今回のAさんは、その「受け子」をしてしまっていたのですが、「受け子」は特殊詐欺に加担する役割であるため、詐欺罪の共犯となります。
「共犯」と一口にいっても、法律上は「共犯」にも様々な種類があり、どういった「共犯」となるかによって刑の重さが異なったりします(なお、Aさんの場合は少年事件となることから、刑罰については原則受けることがありません。)。

例えば、共同して犯罪を実行したと認められれば「共同正犯」、事前に犯罪をすることを一緒に共謀し、誰かが犯罪を実行に移したものだと認められれば「共謀共同正犯」という、全員が正犯=その罪を犯したととらえられる共犯になります。
一方、その正犯の犯行を容易にする手助けを行った程度であるような場合には、「幇助犯」という、正犯に科せられる可能性のある刑罰に比べて軽い範囲で刑罰が下される共犯となります。
これらの共犯のうちどの共犯にあてはまるかは、犯行についてどの程度知りかかわっていたか、どういった意思で行動したのか、果たした役割の重要性はどれくらいか、報酬はどれくらいもらっていたか、といった事情から考えられます。
特殊詐欺事件の「受け子」も、その共犯になるかは詐欺事件によってさまざまですが、学生バイトで詐欺事件の全容をよく知らされずに行っていたような場合には、「幇助犯」となる場合も見られますが、お金を受け取るという詐欺事件では重要なシーンを任されているということから、「共同正犯」や「共謀共同正犯」と認められることも少なくないようです。

では、「受け子」のバイトをしてしまったら、必ず共犯となるのでしょうか。
共犯となる条件はあるのでしょうか。
次回の記事で触れていきます。

夏休み中のバイトから少年事件刑事事件となってしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
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