路面凍結による交通事故②過失運転致傷罪

路面凍結による交通事故②過失運転致傷罪

路面凍結による交通事故で、特に過失運転致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、通勤に自動車を使用しています。
ある日、Aさんはニュースで、「今週は今季一番の冷え込みとなるため、路面凍結などが起きる可能性が高い。ドライバーの方は路面凍結による交通事故防止のためにスタッドレスタイヤへの交換やチェーンの取り付けを行うように」という報道がなされているのを見ました。
こうした注意は道路上の電光掲示板や地域の案内メールなどにもみられましたが、Aさんは「わざわざタイヤを変えたりチェーンを付けるのは面倒だ」と思い、特に対策を行わずに路面凍結状態の道路を運転していました。
すると、Aさんが自動車を運転中、ブレーキを踏んだにも関わらず車がスリップしてしまい、Aさんの前を走っていたVさんの車に追突する交通事故を起こしてしまいました。
Vさんはその交通事故で全治3週間の怪我を負ってしまい、Aさんは通報によって駆け付けた滋賀県木之本警察署の警察官に、過失運転致傷罪の容疑で話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・路面凍結と交通事故

前回の記事では、滋賀県では積雪状態の道路や路面凍結状態の道路を運転する時、滑り止めの措置を講じなければ道路交通法違反となりうることに触れました。
今回の事例のAさんは、路面凍結状態の道路をなんのすべり止め対策もせずに運転してしまっています。
こうしたことから、最終的にAさんは路面凍結によるスリップを起こし、Vさんにけがを負わせる交通事故を起こしてしまっています。
交通事故を起こして人に怪我を負わせてしまったケースでは、多くの場合、自動車運転処罰法内に定められている過失運転致傷罪という犯罪が成立します。

自動車運転処罰法5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

過失運転致傷罪の「過失」とは、条文上の「自動車の運転上必要な注意を怠り」という部分に当たります。
つまり、自動車を運転するにあたって注意する義務のあるものについて、その義務を怠った、ということです。
今回のAさんの事例で考えてみましょう。
Aさんには、前回の記事でも取り上げたように、路面凍結状態にある道路を走行するためにはすべり止め措置を講じなければいけないという義務がありました。
しかし、Aさんはその義務を怠り、路面凍結によるスリップを起こし、それによって交通事故を起こしてVさんにけがをさせています。
すなわち、Aさんは路面凍結状態の道路をすべり止め措置を講じずに運転するという「過失」によってVさんにけがをさせていることから、この過失運転致傷罪が成立すると考えられるのです。

なお、今回のAさんの事例で考えてみれば、交通事故によってVさんは全治3週間の怪我を負っているため、但し書きにある刑の免除を受けることは難しいと考えられます。

・交通事故と刑事弁護

交通事故を起こして相手に怪我をさせ、過失運転致傷事件として刑事事件となった場合には、まずは被害者の方への謝罪や弁償をしていくことが考えられます。
保険に入っている方については、保険会社が被害者に対して損害賠償をしてくれる場合もありますが、例えば被害者の方からお許しの言葉をいただけないか交渉するといった刑事事件により有効な示談交渉は保険会社とはまた別に行わなければなりません。

さらに、今回のAさんは逮捕されていませんが、もしも逮捕されてしまっているような場合には、釈放を目指して活動することも考えられます。
そして、起訴され裁判となれば、その裁判の場でどういった主張をしていくのかも検討し、活動しなければなりません。

こうした活動を刑事事件に慣れない当事者のみで行うことは非常に難しいでしょう。
ですから、早い段階で弁護士に相談・依頼しておくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、交通事故に関連する刑事事件のご相談・ご依頼も承っています。
0120-631-881ではいつでも弊所弁護士によるサービスのご予約・お申込・お問い合わせを受け付けていますので、お気軽にお電話ください。

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