【事例紹介】賃金未払いで書類送検された事例

従業員の賃金を支払わず、大津労働基準監督署が社長と会社を最低賃金法違反の容疑で書類送検した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

大津労働基準監督署は31日、最低賃金法違反(賃金不払い)の疑いで、滋賀県草津市の人材派遣会社と社長の男性(53)を書類送検した。
書類送検容疑は、従業員10人に対して2022年1月分の賃金全額240万6390円と、従業員4人に対して同年2月分の同122万7348円を所定の支払日に支払わなかった疑い。
(後略)
(3月31日 京都新聞 「従業員の賃金360万円以上を不払い疑い 滋賀の人材派遣会社を書類送検」より引用)

最低賃金法と賃金未払い

最低賃金法第4条1項では、「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。」と規定しています。

滋賀県の最低賃金は時給927円です。
ですので、滋賀県内で働く労働者には最低でも時給927円が支払われる必要があります。
もしも、滋賀県内で働いていて、支払われる賃金が時給927円よりも少なかったり、そもそも給料が支払われていない場合には、会社の使用者やその会社に最低賃金法違反の罪が成立することになります。

今回の事例では、従業員10人に対して昨年1月分の給料が、従業員4人に対して昨年2月分の賃金が支払われなかったとされています。
最低賃金法では、最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないと規定していますので、報道の通り賃金が支払われていないのであれば、容疑者や容疑者の会社に最低賃金法違反の罪が成立することになります。

賃金の未払いと刑事処分

最低賃金額以上の賃金を支払わずに、最低賃金法違反で有罪になった場合には、50万円以下の罰金が科されます。(最低賃金法第40条)

では、賃金の未払いがあった場合には、どんな場合でも最低賃金法違反が成立し罰金刑が科されるのでしょうか。

結論から言うと、賃金の未払いがあったからといって、必ずしも最低賃金法違反で有罪になるわけではありません。

従業員への賃金の未払いがあったが、最低賃金法について不起訴処分となった事例がありますので、ご紹介します。
(今回の事例とこれから紹介する事例では、事件内容などが異なります。)

従業員2人への給与計約80万円を支払わなかったとして、彦根労働基準監督署に最低賃金法違反の疑いで逮捕された滋賀彦根市の(中略)男性と、同容疑で法人として書類送検されていた同社について、大津地検彦根支部は不起訴処分とした。(中略)
大津地検は「起訴しなければならないほど悪質な事案ではなかった」としている。
(2017年9月23日 産経新聞 「大津地検が不起訴処分 賃金未払いで逮捕、書類送検の住宅建設業者」より引用)

上記の事例では、従業員2人の賃金が未払いでしたが、起訴しなければならないほど悪質な事例ではなかったとして、不起訴処分になっています。
上記の事例のように、賃金の未払いがあったとしても、最低賃金法違反で刑事罰を受けない場合があります。

刑事事件で捜査を受けるにあたって、警察官や検察官から取調べを受けることになります。
取調べを受ける際に作成する供述調書は、裁判で扱う証拠となります。
ですので、あなたの意に反した供述調書を作成された場合には、後の裁判で不利になってしまう場合があり、そういった供述調書を作成されないためにも、取調べ対策が重要になってきます。
刑事事件に精通した弁護士と取調べ対策をしっかり行うことによって、あなたにとって不利な供述調書の作成を防ぎ、不起訴処分の獲得など、より良い結果を得られるかもしれません。

また、被害者に謝罪と賠償を行い、示談を締結することで、不起訴処分の獲得や科される罪の減軽を目指せる可能性があります。
加害者が直接被害者と示談交渉を行うことで、トラブルに発展する可能性があります。
また、加害者と直接示談交渉を行いたくない被害者もいらっしゃいます。
弁護士が加害者と被害者の間に入ることで、トラブルなくスムーズに示談を締結できる場合がありますので、示談交渉の際は加害者が直接行うのではなく、弁護士を介して示談交渉を行うことが望ましいでしょう。

加えて、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士による処分交渉で、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、少しでもより良い結果を得られるかもしれません。
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刑事事件や最低賃金法違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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