セクハラ行為から強制わいせつ事件に

セクハラ行為から強制わいせつ事件に

セクハラ行為から強制わいせつ事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県守山市の会社Xで課長として働いています。
Aさんは、部下の女性Vさんを好ましく思っており、Vさんと2人になる機会を作っては、Vさんの身体に抱き着いて腰や胸、尻を触ったりしていました。
Vさんは、Aさんから「会社外でも2人で会いたい」「断ったら今の部署にはいられないかもしれない」といったことを伝えられ、我慢できなくなり、滋賀県守山警察署に今までのセクハラの被害を相談しました。
その結果、Aさんは滋賀県守山警察署強制わいせつ事件の被疑者として捜査を受けることになりました。
滋賀県守山警察署からの連絡を受け、自分が刑事事件の被疑者となったことに驚いたAさんは、今後の対応などを強制わいせつ事件などの刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・セクハラは刑事事件になる?

セクハラとは、正式にはセクシャルハラスメントという性的な嫌がらせのことを指します。
性的な嫌がらせということですから、相手の意思に反する性的な言動をすることがセクハラに該当しうるということになります。
セクハラは、主に仕事に関連した場面での性的な嫌がらせを指しています。
セクハラは、今回のAさんの事例のように、上司と部下のような上下関係のある者の間でその立場を利用して行われることも多いです。

注意すべき点として、セクハラは「この行為はセクハラである」「この行為はセクハラではない」と明確に線引きが決められているものではありません。
セクハラは性的な嫌がらせであり、相手の意思に反する性的な言動であるため、相手の意思など基準がはっきりしないものもセクハラの成否にかかわってきます。
そのため、セクハラか否かは状況ごとに判断しなければなりません。
そして、そのセクハラの内容によっては、犯罪となり刑事事件となる可能性があることにも注意しなければなりません。

日本では、セクハラという言動自体をまとめて犯罪として定めているわけではありません。
ですから、セクハラ行為の内容が現在定められている各法律に違反するものかどうかによってそのセクハラ行為が犯罪となり刑事事件となるのかどうかが決まることになります。
当然、セクハラの内容が法律に違反すれば、該当する法律違反という犯罪が成立することになります。

・強制わいせつ罪

セクハラが該当する可能性のある犯罪の1つに、今回Aさんが嫌疑をかけられている強制わいせつ罪が挙げられます。
強制わいせつ罪は、刑法に定められている犯罪の1つです。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は「暴行又は脅迫を用いて」「わいせつな行為」をすることで成立します。
強制わいせつ罪の手段である「暴行又は脅迫」は、相手の抵抗を著しく困難にする程度の強さのものであると考えられています。
簡単に言うと、相手が抵抗できないように暴行や脅迫をしてわいせつな行為をすれば、強制わいせつ罪が成立することになるのです。

Aさんのようなセクハラのケースで考えてみましょう。
セクハラを行う際、相手を押さえつけたり職場での関係を利用した脅し文句を使ったりして相手が同意していない性的な行為をした場合、相手の抵抗を押さえつける「暴行又は脅迫を用いて」「わいせつな行為」をしたとして、強制わいせつ罪が成立する可能性があるといえます。
Aさんの場合も、Vさんに抱き着いて身体を触っていることからVさんの抵抗を物理的に押さえつけていると判断される可能性もありますし、職場の上下関係に基づいた脅し文句でVさんを脅していれば業務に関連して不利益を被るかもしれないと不安になったVさんの抵抗を押さえつけたと判断される可能性もあります。
そうして身体を触るわいせつな行為をしたということになれば、Aさんのセクハラ行為強制わいせつ罪が成立する可能性も十分考えられるということになります。

先述のように、セクハラには明確な基準があるわけではありませんが、Aさんの事例のように刑事事件化する可能性もあります。
セクハラにあたる可能性のある軽率な言動は控えることはもちろんですが、もしもセクハラをして刑事事件となってしまったら、すぐに弁護士に相談して今後の対応を検討することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、セクハラから刑事事件に発展したケースについてもご相談・ご依頼をお受けしています。
まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。

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