少年の強盗致傷事件で逮捕①強盗致傷罪

少年の強盗致傷事件で逮捕①強盗致傷罪

少年の強盗致傷事件で逮捕されてしまったケースの、特に強盗致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県甲賀市に住んでいるAさん(15歳)は、普段からあまり素行がよくなく、仲良くしている友人たちと一緒に学校をさぼったり、夜遅くまで帰宅せずにうろついたりといったことを繰り返していました。
ある日、Aさんは自由に使えるお小遣いが少ないことに困り友人たちと話したところ、一緒に夜道を1人で歩いている人から財布を奪おうという話になりました。
そこでAさんらは、滋賀県甲賀市の道路を1人で歩いていたVさん(56歳)に集団で殴りかかるなどして襲い、無理矢理財布を奪いました。
財布から現金を奪ったAさんらは、これに味をしめ、付近でもう何件か同様の事件を起こしました。
しかし、Vさん等被害者から被害の申告を受けた滋賀県甲賀警察署が捜査をした結果、Aさんらの犯行であることが発覚し、Aさんは自宅を訪れた滋賀県甲賀警察署の警察官に強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、普段から素行はよくなかったものの、まさかAさんが警察沙汰になるような事件を起こし逮捕までされてしまうとは思ってもいなかったため、慌てて弁護士に相談し、今後について詳しい話を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗致傷罪

今回のAさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されていますが、人に暴行して財布などの金品を奪えば強盗罪が、さらにその強盗行為の際に人に怪我をさせてしまえば強盗致傷罪が成立することが考えられます。

刑法236条1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

刑法240条(強盗致傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗罪が成立するには、相手の抵抗を押さえつける程度の強さの「暴行又は脅迫」を用いて他人の財物をその人の意思に反して奪うことが必要です。
「暴行」は有形力の行使のことを指していますから、今回のAさんらのように通行人に対して殴りかかるといった行為はまさに「暴行」であるといえるでしょう。
なお、こうした直接人に向けた「暴行」以外にも、物に対して向けた「暴行」(=間接的な人に対する「暴行」)でも強盗罪の「暴行」にあたることにも注意が必要です。
今回のAさんらは、数人で通行人に襲い掛かっていますから、通行人の抵抗を押さえつけるほどの強さの「暴行」を用いてその財物=財布等の金品を奪っていると考えることができます。
ですから、まずAさんらには強盗罪の成立が考えられるところです。

しかし、今回のAさんらの逮捕容疑は強盗致傷罪です。
条文を見て分かるように、強盗致傷罪は「強盗が」「人を負傷させたとき」に成立する罪です。
「強盗が」とは、「強盗犯人が」という意味です。
つまり、強盗犯人ではない人が誰かを怪我させてしまったとしても強盗致傷罪が成立することにはなりません。
ですが、先ほどまで見てきた通り今回の事例のAさんらには強盗罪が成立すると考えられますので、Aさんらはこの「強盗が」という条文に該当することになります。
そして強盗致傷罪の「人を負傷させたとき」とは、そのまま他人に傷害を加えてしまった時ということを指します。
今回の事例の中では、Vさんら被害者が怪我をしてしまったという詳しい描写はありませんが、おそらく事件後に被害者から診断書等が出され、被害者が怪我をしていることが分かったために強盗致傷罪の容疑となったのでしょう。

ただし、強盗犯人がいつ人に怪我をさせてしまっても強盗致傷罪が成立するのだということではありません。
強盗致傷罪が成立するためには、傷害の結果は強盗の機会に行われた行為から生じたものでなければならないとされています。
すなわち、例えばAさんらが強盗事件を起こし、その後に全く関係のないところで喧嘩となり相手に傷害を負わせたとしてもそれは強盗致傷罪とはならないのです。

・強盗致傷罪は重い犯罪?

強盗致傷罪は、その法定刑が「無期又は6年以上の懲役」となっていることからも、非常に重い犯罪であることがわかります。
法定刑に無期懲役が含まれていることから、強盗致傷罪で起訴されれば裁判員裁判を受けることにもなります。
Aさんのような少年事件では原則として起訴されることも刑罰を受けることはありませんが、それでもこれだけの重い犯罪を行ってしまったことから、それまでの環境に大きな問題があると考えられる可能性は高いでしょう。
なお、少年事件であっても「逆送」されて強盗致傷罪で起訴されれば裁判員裁判を受けることになります。
だからこそ、子どもが強盗致傷事件逮捕されてしまったら、早めに弁護士に相談し、早い段階からできる活動と準備を重ねていくことが大切なのです。

では、こういった少年事件ではどういった活動が考えられ、どういった処分を目指していくことになるのでしょうか。
次回の記事で詳しく取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強盗致傷事件のような重大犯罪の少年事件刑事事件のご相談・ご依頼も承っています。
強盗致傷事件で子どもが逮捕されてしまったら、まずは弊所弁護士までご相談ください。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー