前回に引き続き、福祉施設に勤める看護師が施設利用者に対して殴ったとして、傷害罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は31日、勤務先の福祉施設の利用者に暴行を加えたとして、傷害の疑いで、大津市の看護師の男(48)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)滋賀県内の福祉施設で30代女性の顔を殴り、左顔面打撲の軽傷を負わせた疑い。
同署によると、男は「殴ったことに間違いない」と容疑を認めている。(後略)
(9月1日 京都新聞 「福祉施設で30代女性の顔を殴った疑い、48歳看護師を逮捕 滋賀」より引用)
看護師免許と傷害罪
今回の事例では、容疑者が看護師だと報道されています。
看護師などの国家資格は、刑事罰を科されると免許を取り消される可能性があります。
保健師助産師看護師法第9条
次の各号のいずれかに該当する者には、前2条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。
1号 罰金以上の刑に処せられた者
2号 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
3号 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
4号 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
保健師助産師看護師法第14条
保健師、助産師若しくは看護師が第9条各号のいずれかに該当するに至ったとき、又は保健師、助産師若しくは看護師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
1号 戒告
2号 3年以内の業務の停止
3号 免許の取消し
看護師免許については、保健師助産師看護師法で規定されています。
保健師助産師看護師法第9条、第14条が規定するように、看護師免許は罰金刑以上の刑が科された場合に取り消される可能性があります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、傷害罪で有罪になってしまうと看護師免許が取り消されてしまうおそれがあります。
刑事事件では、捜査終了後、検察官が起訴、不起訴の判断を行います。
起訴されれば裁判が行われますし、不起訴になれば裁判は行われず刑事罰も科されません。
ですので、傷害事件を起こしてしまったとしても、不起訴処分を獲得することができれば、看護師免許の欠格事由に該当しないことになります。
傷害罪と弁護活動
今回の事例は、福祉施設に勤める看護師である容疑者が、施設利用者を殴ったとされています。
容疑者と被害者の関係性は報道からは明らかではありませんが、施設で勤務している看護師が施設利用者を殴ったとなれば、看護師としての立場を利用して暴行を加えたと判断され、同種事案の傷害事件に比べて悪質だと判断される可能性があります。
悪質だと判断されてしまった場合、同種事案の傷害事件よりも重い刑罰を科されてしまう可能性があります。
ですが、弁護士による弁護活動で、不起訴処分を獲得できる可能性があります。
弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
罰金刑などを科されてしまうと看護師免許を失ってしまう可能性があることや、容疑者が起こした傷害事件が悪質だとはいえないことなどを弁護士が主張することで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
また、示談を締結することで、不起訴処分の獲得など、あなたにとって有利な事情に働く可能性があります。
弁護士が代理人となって示談交渉を行うことで、被害者と円滑に示談交渉を行える可能性があります。
加害者が直接示談交渉を行ってしまうとトラブルになる可能性や連絡を断られてしまう可能性が高くなりますので、示談交渉を行う際は、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、不起訴処分の獲得を狙えるかもしれません。
事件によって今後の見通しも変わってきますから、傷害罪でお困りの方、国家資格をお持ちの方で刑事事件の容疑をかけられている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。