薬物を飲ませて準強制性交等罪

薬物を飲ませて準強制性交等罪

Aさんは、SNSを通じて知り合った女性Vさんと滋賀県彦根市内で会いました。
2人は滋賀県彦根市内の飲食店で食事をしたのですが、その際、AさんはVさんの飲み物に睡眠薬を入れ、Vさんの意識をもうろうとさせました。
そしてAさんは、意識がはっきりせず全く抵抗のできない状態のVさんを連れて市内のホテルへ行き、そこでVさんと性交をしました。
翌日、Vさんは薬を盛られて性交させられたとして、滋賀県彦根警察署へ行き、被害を申告しました。
警察署で検査したところ、Vさんの体から薬の成分が検出されたため、捜査が開始され、Aさんは準強制性交等罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は、Vさんに謝りたいと思っていますが、警察官にその旨を伝えたところ、「被害者に聞いたところ、直接加害者の関係者に連絡はしたくない。関わりたくない」と言っていると伝えられました。
困ったAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※令和元年6月11日NHK NEWS WEB配信記事を基にしたフィクションです。)

・準強制性交等罪

旧強姦罪が改正され、強制性交等罪が新設されたことは記憶に新しく、強制性交等罪という名前もよく耳にした、という方も多いでしょう。
では、今回Aさんが容疑をかけられている準強制性交等罪という犯罪名を聞いたことのある方はどれほどいらっしゃるでしょうか。

準強制性交等罪は、刑法に規定されている犯罪の1つです。

刑法178条
1項 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
※注:刑法176条=強制わいせつ罪。6月以上10年以下の懲役。

2項 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
※注:前条=刑法177条=強制性交等罪。5年以上の有期懲役。

刑法178条1項は準強制わいせつ罪と呼ばれている犯罪で、同条2項は今回問題となる準強制性交等罪と呼ばれている犯罪です。
どちらも、強制わいせつ罪/強制性交等罪に準ずるというところから、準強制わいせつ罪・準強制性交等罪と呼ばれています。
「準」とついていることから、強制性交等罪よりも軽い罪に思われがちですが、「準ずる」とは「なぞらえる」ということですので、準強制性交等罪は強制性交等罪と同様に扱われることとなります。
つまり、準強制性交等罪を犯して有罪が確定すれば、強制性交等罪と同じ5年以上の有期懲役という範囲で刑罰が科されることとなるのです。

では、準強制性交等罪はどのような場合に成立するのでしょうか。
強制性交等罪が「暴行又は脅迫」を用いて性交等をした場合に成立するとされているのに対し、準強制性交等罪の成立には「暴行又は脅迫」は不要です。
その代わり、準強制性交等罪が成立するには、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」性交等をすることが必要とされます。
大まかに言えば、準強制性交等罪の場合、暴行や脅迫によらずに人を抵抗できない状態にしたり、人の抵抗できない状態を利用して性交等をすることで罪が成立するのです。
「心神喪失」とは、精神的・生理的な障害によって正常な判断のできない状態のことを指し、「抗拒不能」とはそれ以外の理由で心理的・物理的な要因から抵抗ができない状態を指します。

今回のAさんは、Vさんに対して暴行をしているわけでも脅迫をしているわけでもないため、単なる強制性交等罪は成立しません。
しかし、Vさんに薬を飲ませることで意識障害を引き起こし、抵抗することができない状態にしたうえで性交をしていますから、準強制性交等罪となることが考えられます。

・準強制性交等事件と示談

準強制性交等事件のような性犯罪の場合、被害者に謝罪して弁償を行い、示談したいと思っても、被害者の方からすれば加害者への恐怖や怒りが大きいことは当然ですから、直接連絡を取り合いたくないと思うことも自然です。
ですから、なかなかご家族が連絡を取りたいと思っても、了承していただけることはまれです。
弁護士を挟み、弁護士限りでの話し合いとすることで、被害者の方も安心して謝罪や弁償の話を聞いてくださることも多いです。
だからこそ、今後の見通しや手続きへの対応の相談もかねて、まずは刑事事件に強い弁護士に相談されることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、準強制性交等事件のような性犯罪事件の弁護ももちろんご依頼いただけます。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー