ドリフト族の共同危険行為

ドリフト族の共同危険行為

18歳のAさんは、複数の友人らとともに、滋賀県守山市で車を走らせていました。
Aさんらは、集団でドリフト走行を行ったり、蛇行運転をしたりしながら、その様子を動画で撮影し、楽しんでいました。
Aさんらは、いわゆる「ドリフト族」と呼ばれる集団でした。
ある日、仲間内の1人が、ドリフト走行等をしている動画をSNSにアップしたところ、滋賀県守山警察署が捜査を開始し、Aさんらは道路交通法上の共同危険行為をしたとして逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさんが車を運転することを趣味にしていたことは知っていましたが、まさか「ドリフト族」に所属してそうした運転をしているとは思いもよらず、逮捕の知らせを受けて急いで弁護士に相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・ドリフト族と共同危険行為

ドリフト走行とは、カーブに入る際に意図的に車を滑らせて走行させる運転技術のことです。
日本では、1970年代頃から「ドリフト族」と呼ばれる、峠道や駐車場、湾岸地区などでドリフト走行を披露する暴走族の集団が現れたといわれています。

このドリフト族のように、集団で、車やバイクで走行し、ドリフト走行を行う行為は、道路交通法上の共同危険行為にあたり、道路交通法違反となる可能性が高いです。
共同危険行為は、2人以上で車やバイクを連ねて走行させたりして、著しく道路上の危険を発生させたり他人に迷惑を及ぼしたりする行為のことで、共同危険行為を行うと2年以下の懲役または50万円以下の罰金となります(道路交通法107条の3)。
さらに、たとえドリフト族のように集団で走行していなくとも、ドリフト走行を行うこと自体が道路交通法上の安全運転義務(70条)に違反し、3月以下の懲役または5万円以下の罰金となる可能性もあります(道路交通法109条9号)。
ただし、Aさんは18歳とのことで、20歳未満であるため、後述するようにこの共同危険行為事件少年事件として扱われますから、原則としてAさんがこれらの刑事罰を受けることはありません(ただし、交通事件の場合には、罰金を見越して「逆送」され、罰金という刑事罰を受けるパターンもあります。)。

・共同危険行為と少年事件

少年事件の場合、先ほど触れたように原則として刑事罰が下ることはありません。
ではどういった処分が下されるのかというと、少年院送致や児童自立支援施設送致、保護観察といった処分が考えられます。
これらは、少年事件を起こしてしまった少年が更生できるように行う、いわゆる「保護処分」です。

今回のAさんについて考えると、Aさんはドリフト族に所属し、共同危険行為を繰り返していたようです。
こうした場合、Aさんが同様の少年事件を起こさないようにするためには、まずはドリフト族とのかかわりを絶つことが考えられます。
そうすると、一度今までの環境から離れて生活することが適当と判断されることもあります。
ドリフト族など、暴走族に所属する少年の共同危険行為事件では、こうした考えから、少年院送致といった処分がとられることも珍しくありません。
もちろん、少年院は刑務所とは別で、少年の更生のための施設ですから、全く少年のためにならないということでもないでしょう。
しかし、少年院に行っている間は、少年は今まで生活してきた環境から全く別の環境に切り離され、満足に連絡や外出もできない状態になってしまいます。
そうなれば、せっかく通っていた学校や働いていた勤務先も失ってしまうということにもなりかねません。

ですから、こうした事件では、まずはドリフト族との関係を絶ちつつ、社会内で更生できるような環境を整えていくことが考えられます(こうした活動を「環境調整」と言ったりします。)。
ですが、「環境を整える」といっても、少年本人だけ、その周りの家族だけで取り組もうとしても、なかなか何をしたらいいのか分からないことも多いです。
さらに、何か取り組んだとしても、それをどこにどのように訴えるべきなのかも分からないでしょう。
だからこそ、少年事件に強い弁護士のサポートを受けることが望ましいのです。
専門家である弁護士が第三者としてアドバイスすることで、今まで気づけなかった少年事件の原因に気づくことができたり、なかなか家庭内の当事者同士で話しづらかったことを相談できたりといったことが期待できます。
弁護士はその道のプロですから、遠慮なく相談していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、共同危険行為事件を含めた少年事件のご相談をいつでもうけつけております。
まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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