シバガス所持で家宅捜索・逮捕
滋賀県長浜市に住んでいるAさんは、SNSを通じて、「自転車のパンク修理用ガス」と称されたガスボンベを購入しました。
しかし、そのガスは自転車のパンク修理用ガスを装った、いわゆる「シバガス」という指定薬物に指定されているガスでした。
Aさんはそれを購入して使用していたのですが、ある日、滋賀県長浜警察署の警察官がAさん宅に訪れ、Aさんに家宅捜索令状を示し、家宅捜索を始めました。
そしてAさん宅から「シバガス」が発見され、Aさんは薬機法違反の容疑で滋賀県長浜警察署に逮捕されることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・「シバガス」
いわゆる「シバガス」は、正式名称を「一酸化二窒素」または「亜酸化窒素」というガスで、主に麻酔などに用いられているガスです。
このガスは「笑気ガス」とも呼ばれており、笑気ガスを使った「笑気麻酔」を受けたことのあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
販売されていた製品の名前から「シバガス」と呼ばれているようです。
しかし、この「シバガス」は、薬機法(正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)の「指定薬物」に指定されている、いわゆる「危険ドラッグ」の1つです。
危険ドラッグというと、どうしても錠剤や液体、紙片、葉っぱのようなものを想像しがちですが、こうしたガス様の危険ドラッグも存在するのです。
「シバガス」は、使用すると陶酔作用があるといわれています。
こうした効果を求め、「シバガス」を乱用する人がいるということから、規制するに至ったのだと考えられます。
・薬機法違反
薬機法は、改正前は「薬事法」と呼ばれていた法律です。
薬機法では、医薬品等の安全確保のための規定のほか、「指定薬物」=いわゆる危険ドラッグの規制も行っています。
薬機法84条
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
26号 第76条の4の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)
薬機法76条の4
指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
つまり、「医療等の用途」以外で「指定薬物」を所持・使用すれば薬機法違反ということになるのです。
今回のAさんについて考えてみれば、Aさんは「シバガス」を自分で使用するために購入して使用しているのですから、「医療等の用途」以外の用途で「指定薬物」である「シバガス」を所持・使用しているといえます。
そのため、Aさんには薬機法違反が成立すると考えられるのです。
・家宅捜索
シバガス所持事件のような薬物事件では、証拠となる薬物や取引のデータ等を見つけるために家宅捜索が行われてから逮捕が行われることも珍しくありません。
家宅捜索は令状をもって行われ、証拠として押収されたものがあれば、それらを一覧にした「押収品目録」という書類が発行されます。
家宅捜索だけ行われてその場では逮捕されなかった、という場合であっても、後日証拠品を検討した結果逮捕に至るということもありますから、家宅捜索を受けてしまったらなるべく早く弁護士に相談することが望ましいでしょう。
なお、「押収品目録」には、誰のどの嫌疑によっていつ何がどこで押収されたのかが書かれていますから、事件の見通し等を立てる際に重要な手がかりとなります。
もしも弁護士に相談するとなった際には、この「押収品目録」を持っていくことをおすすめいたします。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、シバガス所持事件のような薬機法違反事件や、家宅捜索・逮捕を伴う刑事事件のご相談・ご依頼も安心してお任せいただけます。
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