被害者なのに恐喝罪で逮捕?①

被害者なのに恐喝罪で逮捕?①

滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、恋人である女性Bさんとともに自宅近くの商業施設に出かけてきていました。
すると、商業施設内で、Bさんにスマートフォンを向けている男性Vさんを見つけました。
AさんがVさんに問い詰めたところ、VさんはBさんのことを盗撮していたのでした。
AさんとBさんは非常に怒り、Vさんに「慰謝料として100万円支払え。そうでなければ滋賀県東近江警察署に盗撮の被害届を出す。そうなればお前は逮捕されるぞ。どういうことかわかるだろうな」と詰め寄りました。
Vさんはすっかりおびえてしまい、ATMで100万円を下すとAさんとBさんに渡しました。
その場はそれで収まっていたのですが、後日VさんがAさんとBさんに100万円を脅し取られたとして滋賀県東近江警察署に相談し、AさんとBさんは恐喝罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・恐喝罪

今回のAさん・Bさんの逮捕容疑である恐喝罪は、刑法に定められている犯罪です。

刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝罪が成立するには、①恐喝行為→②恐喝行為によって相手が畏怖→③相手がその意思によって財物を交付→④財物の占有(支配・管理)が移る、という段階をたどり、さらにこれらに因果関係があることが必要です。

恐喝」する=恐喝行為とは、財物の交付をさせるために暴行又は脅迫によって相手を畏怖させることを指します。
この時、行われる暴行又は脅迫は相手の反抗を抑圧しない程度のものであることが求められます。
もしも暴行・脅迫の程度が激しく、相手が抵抗することが難しいほどのものであった場合(例えば拳銃や包丁などの凶器を用いての暴行・脅迫など)には、恐喝罪ではなく強盗罪の成立が検討されることになります。

・恐喝罪と似た犯罪

ここで、恐喝罪と似た犯罪を紹介します。
恐喝罪がよく比較される犯罪としては、①強盗罪、②詐欺罪、③強要罪、④脅迫罪があります。

①強盗罪

刑法236条
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

先ほども触れましたが、暴行・脅迫の程度が激しく、相手の抵抗を抑圧するようなものであった場合には、強盗罪の成立が検討されます。

②詐欺罪

刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、相手に相手の意思で財産を交付させるという点で恐喝罪と似ている部分がありますが、恐喝罪が暴行・脅迫によって交付させるのに対し、詐欺罪は相手をだますことによって財産の交付をさせる点で異なります。

③強要罪

刑法223条
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

強要罪は、暴行・脅迫を用いることは恐喝罪と共通していますが、人に義務のないことを強いることが恐喝罪と異なります。

④脅迫罪

刑法222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

脅迫罪は、脅迫をすることで成立します。
脅迫によって財産の交付をさせた場合には恐喝罪が、義務のないことをさせた場合には強要罪が成立することになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした様々な刑事事件に対応しています。
0120-631-881では初回無料法律相談や初回接見サービスの申し込みをいつでも受け付けています。
まずはお気軽にお電話ください。

次回の記事ではAさんのケースについて詳しく触れていきます。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー