【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件 官製談合防止法違反

【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件 官製談合防止法違反

官製談合防止法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県日野町発注の排水処理施設改修工事の入札を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの罪に問われた町上下水道課主任の男(43)の判決が28日、大津地裁であり、西脇真由子裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
判決によると、主任の男は2020年9月18日に行われた東桜谷地区農業集落排水処理施設の改修工事の指名競争入札で、大津市の水道設備メンテナンス会社の元営業工事部課長(57)=公契約関係競売入札妨害罪で有罪が確定=に、非公表の最低制限価格が810万円に近い金額だと教え、809万円で同社に落札させた。
(後略)
(7月28日 京都新聞 「滋賀・日野町の官製談合事件、町上下水道課主任の男に有罪判決 大津地裁」より引用)

官製談合防止法

今回取り上げた事例は、町の職員であった男性が、官製談合防止法違反などの罪に問われたという談合事件のようです。
まずは、報道にも出ている「官製談合防止法違反」という犯罪について確認してみましょう。

官製談合防止法は、「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」の略称です。
職員による入札の妨害は、その第8条に規定されています。

職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、賃借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示することまたはその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、5年以下の懲役または200万円以下の罰金に処する。(官営談合防止法第8条)

条文によると、職員が特定の入札予定者に予定価格などの入札に関わる機密事項を教えた場合に、官製談合防止法違反が成立するということになります。
ここでいう「職員」とは、「国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員」とされています(官製談合防止法第2条第5項)。
つまり、大まかにまとめると、公務員や特定の法人の役員・職員が、特定の入札予定者に対して入札に関連する機密事項を教えることで、官製談合防止法違反となるのです。
こうした官製談合防止法違反で有罪となった場合には、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科されることになります。(官製談合防止法第8条)

今回の報道の事例を考えてみましょう。
有罪判決を受けた男性は、町の水道課に勤務していたようですから、公務員、すなわち官製談合防止法のいう「職員」にあたります。
この男性が、町の排水処理施設の改修工事について、特定の業者に入札の最低制限価格を教えたということですから、「所属する国等が入札等により行う…請負その他の契約締結に関し」「事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示」したといえます。
これによって、男性は官製談合防止法違反に問われたということなのでしょう。
入札予定価格を教えたといった談合事件では、こうして官製談合防止法違反が成立することが多いです。

談合事件は世間からの関心度も高く、さらに、社会的責任も重いと考えられ、厳しい判断が下される可能性もある刑事事件です。
早い段階から、法律のプロである弁護士のサポートを受けながら、刑事手続きに対応していくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は数多くの刑事事件を解決に導いてきました。
官製談合防止法違反などの刑事事件でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ご相談ください

次回の記事では、公契約関係競売入札妨害罪について解説します。

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