【事例紹介】病気の犬に治療を受けさせなかったことで逮捕された事例

動物虐待

ペットショップで販売している犬に獣医師の治療を受けさせなかったとして、動物愛護法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

滋賀県甲賀市のペットショップで病気にかかった犬に治療を受けさせなかったとして、滋賀県警生活環境課と甲賀署は11月28日、動物愛護法違反(虐待)の疑いで、ペットショップ経営会社「(中略)」(名古屋市)の営業部長の女(44)=大津市=を逮捕した。県警は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は3月21~25日、同社が運営する甲賀市のペットショップ「(中略)」で、当時の店長(21)と共謀し、販売していた犬3匹が何らかの病気にかかったのに、獣医師の治療を受けさせるなどの適切な保護をしなかった疑い。
同課によると、3匹とも同月中に死んだという。犬種はパグ、ジャックラッセルテリア、シバイヌで、いずれも生後6カ月前後だった。女は滋賀県内の店舗の運営を管理する立場だったという。
(後略)
(11月28日 京都新聞 「病気の犬に治療受けさせず、ペットショップ社員の女を容疑で逮捕 3匹はその後死ぬ」より引用)

病気と動物愛護法

今回の事例では、ペットショップで販売していた犬3匹が病気にかかったのに獣医師の治療を受けさせなかったとして動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護法」といいます。)違反の容疑で逮捕されています。
動物愛護法違反と聞くと、動物への虐待を想像する方がほとんどだと思います。
病気にかかった犬に獣医師の治療を受けさせない場合には、動物愛護法違反の罪が成立するのでしょうか。

動物愛護法第44条2項
愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

動物愛護法第44条2項では、自分が飼育している愛護動物や保管している愛護動物が病気にかかった場合に適切な保護を行わないことを禁止しています。
病気にかかった際の適切な保護には、受医師の治療を受けさせることも含まれると考えられます。
また、動物愛護法第44条2項が規定する愛護動物とは、犬や猫、いえうさぎなどが該当します。(動物愛護法第44条4項1号)
ですので、自分の飼育または保管している犬が病気にかかった場合に獣医師の治療を受けさせないと、動物愛護法違反が成立する可能性があります。

今回の事例で逮捕された女性は、滋賀県の店舗の運営を管理する立場だったようです。
この女性が病気にかかった犬を飼育または保管していたといえるのでしょうか。

病気で亡くなった犬3匹はペットショップで販売されていたと報じられています。
ですので、この3匹の犬はペットショップが管理していることになります。
滋賀県の店舗の運営をする立場である女性が直接お世話をしていなかったとしても、滋賀県内にある店舗の責任者である立場ゆえに間接的に飼育保管をしていたとみなされるおそれがあり、女性に動物愛護法違反が成立する可能性があります。

共犯と釈放

今回の事例では、店長と共謀して病気の犬に獣医師による治療を受けさせなかったとされています。
共犯者がいる事件では、口裏合わせなどによる証拠隠滅を防止するために、釈放が認められない場合が多々あります。
釈放されない場合、勾留決定から20日間、身体拘束を受け続ける可能性があります。
また、そのまま釈放されずに起訴された場合には、保釈が認められない限り、身体拘束を受け続けることになります。

釈放を求める弁護活動として、勾留判断前に意見書を提出する方法があります。
身元引受人である家族が監視監督を行うことで、共犯者と連絡をとれないようにすることや、逃亡はさせないことなどを検察官や裁判官に訴えることで釈放が認められる可能性があります。
この意見書の提出は、検察官が勾留請求を行う前裁判官が勾留の判断を行う前2回チャンスがあります。
この2回の機会を逃すと、勾留満期までに釈放を求められる機会は準抗告の申し立ての1回のみになります。
釈放を求める機会を少しでも多く手に入れるためにも、逮捕された場合には速やかに弁護士に相談をすることが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
弁護士による身柄開放活動釈放を実現できるかもしれません。
ご家族が逮捕された方は、刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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