電車内ちかんで会社員を逮捕
電車内ちかんで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
9月30日夜、琵琶湖線の普通電車内で、25歳の女性の太ももを触ったとして30代の会社員の男が逮捕されました。
不同意わいせつ罪の疑いで逮捕されたのは滋賀県大津市に住む35歳の会社員の男です。
滋賀県大津警察署によりますと男は、9月30日午後11時頃、山科駅から大津駅に向かう普通電車の車内で、隣に座った25歳の女性の太ももを触った疑いが持たれています。
女性の隣に座っていた知人が取り押え、駅員室に連れて行き、駅員が警察に通報したということです。
調べに対し男は「座席に座って、女性の左足を触りました」と、容疑を認めているということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
不同意わいせつ罪・不同意性交等罪が令和5年に成立
刑法改正がされ、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪、強制性交等罪・準強制性交等罪が不同意わいせつ罪、不同意性交等罪となり令和5年7月13日に施行されています。
改正前の犯罪である強制わいせつ罪、強制性交等罪では「暴行」・「脅迫」が行われていたか、準強制わいせつ罪、準強制性交等罪では「心神喪失」・「抗拒不能」状態であったかで犯罪が成立するかどうかが判断されていました。
しかし、これでは内容の解釈にばらつきがあり、限定された状況で犯罪が成立しないという指摘がありました。
そこで不同意わいせつ罪・不同意性交等罪では「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」(簡単に説明すると、性的行為をすることを決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと、その意思を相手に伝えることが難しい状態)という表現を用いて統一的な内容とすることになりました。
それだけでなく、性交同意年齢の引上げ、身体の一部又は物を挿入する行為の取扱いの見直し、配偶者間において不同意性交等罪などが成立することの明確化などの点が改正され、より強化されたと解することができるでしょう。
不同意わいせつ罪とは
不同意わいせつ罪とは、簡単に説明すると下記の8つの行為の状態により「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」にさせ、わいせつな行為をすることで成立する犯罪をいいます。
① 暴行もしくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
② 心身の障害(身体障害、知的障害、発達障害及び精神障害など、一時的なものを含む)を生じさせること又はそれがあること。
③ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤ 性的行為がされようとしていることに気付いてから、性的行為がされるまでの間に、その性的行為について自由な意思決定をするための時間のゆとりがないこと。
⑥ いわゆるフリーズの状態、つまり、予想外の又は予想を超える事態に直面したことから、自分の身に危害が加わると考え、極度に不安になったり、強く動揺して平静を失った状態のこと。
⑦ 虐待を受けたことによる、それを通常の出来事として受け入れたり、抵抗しても無駄だと考える心理状態や、虐待を目の当たりにしたことによる、恐怖心を抱いている状態のこと。
⑧ 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を自らやその親族等に不利益が及ぶことを不安に思うこと又はそれにより不安にさせること。
いずれもその程度は問われませんが、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」になっていることが必要です。
今回の事例では上記⑤の状態、つまり、性的行為がされるまでに嫌だと伝える暇もなく、身体の一部を突然触られています。
被害者の女性には同意がある訳でもないので、加害者に不同意わいせつ罪が成立するでしょう。
また、不同意わいせつ罪で実刑になれば6月以上10年以下の拘禁刑に処せられます(刑法第176条)。
不同意わいせつで逮捕・勾留されてしまったら
不同意わいせつ罪では、駅員から警察に身柄を引き渡され、取調べのためそのまま留置されることもあります。
その場合、職場を休むことになり、社会的な損失も伴うことになるでしょう。
また、この事例でのわいせつ行為は電車内での行為なので、被害者としてはまた加害者と同じ電車で遭遇するのではないか、つきまとわられてしまうのではないかと、心配が伴うことがあります。
そこで弁護士が仲介にはいり、加害者が事件を起こした電車を利用しないなど加害者が被害者と遭遇しないように対策を講じていることを伝えることで、被害者も少しは安心できるでしょうし、謝罪や賠償の申し入れを行うことで示談の道も開け、場合によれば早期釈放や不起訴も見えてくるでしょう。
不同意わいせつ罪で逮捕されてしまったら弁護士へ
弁護士の専門知識と経験は、被疑者が最適な結果を得るために不可欠です。
特に、法律や手続きに詳しくない方にとって、弁護士のサポートは心強い味方となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、不同意わいせつ罪をはじめとする刑事事件に精通した法律事務所です。
不同意わいせつ罪などでご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどの場合は、0120‐631‐881までお気軽にお問合せください。
また、ご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
弁護士がご本人から直接事実関係などを確認した上で、現在の状況や今後の見通しについて詳しい説明を受けることができます。
その他にもご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120‐631‐881)にて24時間365日受付中です。
滋賀県内でご家族が不同意わいせつ罪などの刑事事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。