動物虐待で刑事事件①~動物愛護法違反

動物虐待で刑事事件①~動物愛護法違反

滋賀県草津市に住んでいるAさんは、日ごろのストレスを発散するために、近所にいる野良猫を捕まえては暴行していました。
ある日、Aさんの暴行を受けた野良猫を見た近所の人が、「動物虐待をしている人がいるようだ」と滋賀県草津警察署に通報したことで捜査が開始され、その後、Aさんは動物愛護法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、ニュース番組での報道を見て、Aさんが逮捕されたことを知ったのですが、どうすればよいのかわからず、ひとまず刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

動物虐待事件はしばしばメディアで報道されるため、動物虐待をすれば犯罪となり、刑事事件となることをご存じの方も多いでしょう。
今回からは、動物虐待をした際に成立しうる犯罪について複数回に分けて取り上げていきます。

・動物愛護法

まずは、今回の事例のAさんの逮捕容疑でもあり、ニュースで動物虐待事件が取り上げられる多くの場合で目にするであろう「動物愛護法違反」という犯罪について触れていきましょう。
動物愛護法という法律は、正式には「動物の愛護及び管理に関する法律」という法律です。
動物愛護法の中の、動物虐待を禁止する条文を見てみましょう。

動物愛護法44条
1項 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
2項 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、100万円以下の罰金に処する。
3項 愛護動物を遺棄した者は、100万円以下の罰金に処する。

Aさんのしてしまった動物虐待行為のような、動物に暴行して傷つけたり、殺してしまったりするものについては、1項の条文で処罰が決められています。
そして、いわゆる飼育放棄や酷使といった動物虐待行為については、2項の条文で処罰が決められています。
さらに、動物を遺棄した場合には3項の条文が該当します。
しかし、この動物愛護法の条文にある「愛護動物」とは、全ての動物を対象としているわけではないことに注意が必要です。

動物愛護法44条4項
前3項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
1号 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
2号 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

これらの中に入っていない動物については、「愛護動物」である動物愛護法44条の対象にはなりませんから、その動物虐待行為は動物愛護法違反とはなりません(ですが、別の犯罪が成立する可能性は十分あります。次回の記事で詳しく取り上げます。)。

・動物愛護法の改正

つい先日、この動物愛護法が改正案が可決され、成立しました。
この改正動物愛護法では、ペット販売業者等についての規制等に加え、動物虐待行為の厳罰化がなされました。
現在、先ほど挙げた動物愛護法44条1項にある動物虐待行為は、「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」の法定刑となっていますが、改正後は「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」と大幅に強化されます。
そして、こちらも先ほど挙げた動物愛護法44条3項の動物虐待行為も、現在「100万円以下の罰金」と罰金刑のみの規定となっていますが、改正後は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と懲役刑となる可能性が出てきます。

このように、動物虐待による動物愛護法違反は世間的にも注目され、厳罰化の傾向にあります。
動物虐待による動物愛護法違反事件でお困りの際は、刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。

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