不正アクセス行為でなくても不正アクセス禁止法違反

不正アクセス行為でなくても不正アクセス禁止法違反

不正アクセス行為でなくても不正アクセス禁止法違反なるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、近所に住んでいる友人のVさん宅に遊びに行った際、VさんのメールやSNSのIDやパスワードが机のメモに残されていることに気がつきました。
Aさんは、Vさんのプライベートが気になり、そのIDやパスワードを盗み見ると、後日、自分のスマートフォンやパソコンからVさんのアカウントにアクセスすると、メールや画像などを見たりダウンロードしたりしていました。
するとある日、Aさんの元に滋賀県東近江警察署の警察官がやってきて、Aさんを不正アクセス禁止法違反の容疑で逮捕してしまいました。
家族の依頼で逮捕されたAさんの元を訪れた弁護士に、Aさんは自分の逮捕容疑である不正アクセス禁止法違反のことを詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・不正アクセス禁止法で禁止されていること

前回の記事では、不正アクセス禁止法のうち不正アクセス行為の禁止について触れましたが、今回の記事ではそれ以外で不正アクセス禁止法が規制している行為について触れていきます。

不正アクセス禁止法第4条
何人も、不正アクセス行為(第2条第4項第1号に該当するものに限る。第6条及び第12条第2号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。

この条文では、不正アクセス行為だけでなく、不正アクセス行為をする目的で他人のIDやパスワードといった情報を取得することを禁止しています。
この条文に違反した不正アクセス禁止法違反となった場合、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第1号)。

不正アクセス禁止法第5条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。

この条文では、業務等の正当な理由による場合以外に、他人のIDやパスワードをアクセス管理者等の他人に渡すことを禁止しています。
相手に不正アクセス行為をする目的があると知りながらこの条文に違反する行為をし、不正アクセス禁止法違反となった場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第2号)。

不正アクセス禁止法第6条
何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはならない。

この条文では、不正アクセス行為に使う目的で、不正に取得された他人のIDやパスワードを保管することを禁止しています。
この条文に違反した不正アクセス禁止法違反となった場合、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第3号)。

不正アクセス禁止法第7条
何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。
第1号 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く行為
第2号 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)第2条第1号に規定する電子メールをいう。)により当該利用権者に送信する行為

この条文では、簡単に言えばフィッシングサイトの立ち上げ(第1号)やフィッシングメールの送信(第2号)を禁止しています。
この条文に違反して不正アクセス禁止法違反となった場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(不正アクセス禁止法第12条第4号)。

このように、不正アクセス禁止法という名前ではあるものの、不正アクセス禁止法では不正アクセス行為だけでなく、不正アクセス行為を助長するような行為等、様々な行為が規制されています。
自身のどういった行為が不正アクセス禁止法のどこに違反するのかわからないという場合もあるでしょう。
そんな時こそ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
刑事事件専門だからこそ、安心してご相談いただけます。

次回の記事では今回のAさんの事例に当てはめて検討を行います。

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