原付の2人乗りで道路交通法違反②

原付の2人乗りで道路交通法違反②

前回からの流れ~
滋賀県長浜市に住むAさん(17歳)は、原付免許を取得し、50ccの原付を運転していました。
ある日、Aさんは友人のVさんを原付の後ろに乗せ、滋賀県長浜市内を通る道路で2人乗りをしていました。
するとその姿を発見したパトカーで巡回中の滋賀県長浜警察署の警察官が、「原付の2人乗りは道路交通法違反になります。そこの原付、停まりなさい」と声をかけてきました。
捕まってはまずいと思ったAさんは、原付を運転してパトカーから逃げましたが、途中で乗用車と衝突してしまいました。
幸いにも死亡した人はいませんでしたが、Aさんは道路交通法違反(定員外乗車)の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月13日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・原付2人乗りで逮捕?

前回の記事で触れた通り、道路交通法上の原付(=総排気量50cc以下の二輪車等)については、以下の条文に違反するため2人乗りはできません。

道路交通法57条1項
車両(軽車両を除く。以下この項及び第58条の2から第58条の5までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
(以下略)

道路交通法120条1項10号の2
第57条(乗車又は積載の制限等)第1項の規定に違反した者(第118条第1項第2号及び第119条第1項第3号の2に該当する者を除く。)
※注:道路交通法118条・119条は荷物の積載についての罰則。

今回のAさんは、それにもかかわらず原付で2人乗りをしたという道路交通法違反の容疑で逮捕されていますが、ここで、刑事訴訟法では逮捕について以下のような規定があるため、「罰金5万円以下の犯罪で逮捕されるのはおかしいのではないか?」と思う方もいるかもしれません。

刑事訴訟法199条1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

先ほども掲載したように、原付の2人乗りによる道路交通法違反の罰則は罰金5万円以下ですから、刑事訴訟法199条1項ただし書にあるように、被疑者が住所不定であるか、正当な理由のない不出頭である場合にしか逮捕状による逮捕(いわゆる通常逮捕)はできないことになるのです。
しかし、今回のAさんは逮捕状による逮捕ではなく、現行犯逮捕です。
現行犯逮捕は逮捕状を必要としない逮捕であり、通常逮捕のようにその犯罪の刑罰の重さによって何か制限があるわけではありません。
今回のAさんは現行犯逮捕されているため、この刑事訴訟法199条1項には当てはまらず、刑罰の重さによる制限がかからなかったのです。

逮捕されてしまった場合には、そのすぐあとから身柄解放活動を開始することで、釈放を主張する機会を多く活用することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、滋賀県刑事事件少年事件の逮捕にも迅速に対応を行っています。
0120-631-881では、いつでも弊所弁護士によるサービスについて、お問い合わせ・お申し込みを受け付けていますので、逮捕を聞いてお困りの際は遠慮なくお電話ください。

次回は今回のAさんの事件の手続きや他に成立しうる犯罪について触れていきます。

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