飲酒運転を隠そうと逃亡…これも犯罪に?③

飲酒運転を隠そうと逃亡…これも犯罪に?③

~前回からの流れ~
滋賀県大津市のAさんは、仕事から帰宅後、飲酒していました。
ふとAさんは、帰路に買って帰ろうと思っていた日用雑貨を買い忘れて帰ってきてしまったことを思い出しました。
そこでAさんは、「そんなに遠い距離ではないし大丈夫だろう」と思い、飲酒運転をしながらホームセンターに向かいました。
するとその道中で、歩行者Vさんと接触し、けがをさせてしまうという人身事故を起こしてしまいました。
このままでは飲酒運転がばれてしまうと焦ったAさんは、Vさんに声をかけることもなく、そのまま自動車で走り去り、コンビニで水を購入して飲む等をしました。
しかし、15分後、通報を受けて捜査していた滋賀県大津北警察署の警察官により、Aさんは警察署に任意同行され、その後逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

前回の記事で触れた、自動車運転処罰法の中にある「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」は、いわゆる「逃げ得」防止のための規定です。
今回は、なぜこの過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪が規定されることになったのか、また、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪を疑われた際どういった対応が考えられるのか、といった部分に触れていきます。

・「逃げ得」?

飲酒運転をして人身事故を起こしてしまった場合、前回までの記事で触れたように、自動車運転処罰法内に規定されている危険運転致死傷罪にあたる可能性が出てきます。
しかし、飲酒運転が発覚しなければ、この危険運転致死傷罪が適用されなくなる可能性が出てきます。

例えば、酩酊状態で飲酒運転をして人身事故を起こし、危険運転致死傷罪が適用されてしまった場合、被害者が怪我をしていれば15年以下の懲役被害者が死亡していれば1年以上の有期懲役(上限20年)となることになります。
しかし、その場を立ち去り酔いがさめたりアルコール濃度が下がったりするまで待ったり、水を飲む等してアルコール濃度を下げる行為をして、アルコール濃度を検知できないようにしたり酩酊状態でないようにしたりすれば、危険運転致死傷罪の成立要件である、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」たと確認できず、ひき逃げによる道路交通法違反と過失運転致死傷罪が成立するにとどまることになります(事故後にアルコールを摂取した場合、検知されたアルコールが事故前に飲まれていたものなのか、事故後に飲まれたものなのか分からなくなるため、同じく飲酒運転をしていたかどうかの確認ができなくなります。)。
そうなると、ひき逃げ+過失運転致死傷罪は最高でも15年の懲役となりますので、最高20年の懲役となる危険運転致死傷罪よりも軽くなってしまいます。
これが逃げた方が得=「逃げ得」であるとされてきたのです。

そういった「逃げ得」を防止するため、今回取り上げた「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が規定されたのです。
「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が認められた場合、ひき逃げと合わせて最高18年の懲役が科される可能性があります。

・Aさんの事件で考えられる対応

今回のAさんは、飲酒運転の発覚をおそれ、逃亡したうえに水を飲んでアルコール値を下げるための行為をしています。
ですから、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪とひき逃げに問われる可能性が考えられます。
ただし、もしもAさんが、実は飲酒運転発覚を避けるために逃げたり水を飲んだりしていたわけではなかったような場合、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪については冤罪であることになります。
先ほど触れたように、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪はひき逃げと合わさると非常に重い刑罰が科せられる可能性があります。
冤罪である場合はもちろん、そうでない場合も、弁護士の助言を逐一受けながら、取調べに臨むことが望ましいでしょう。

また、今回は人身事故ですから、けがをしてしまった歩行者Vさんという被害者の方が存在しています。
Vさんへの謝罪や被害弁償といった被害者対応も必要となることが考えられます。
ただし、Aさんは人身事故を起こした後に逃げてしまっていることから、Vさんの被害感情や処罰感情が大きいことも予想されます。
そうした場合には、直接話し合いを行うことで不要なトラブルを招いてしまったり、そもそも話し合いの場についてもらえないということも考えられます。
刑事手続きに有効な示談締結をするためにも、専門家であり第三者である弁護士のサポートが有効です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、飲酒運転に関連した刑事事件のご相談も数多く寄せられています。
刑事事件専門の弁護士が、それぞれの事件ごとの事情をお伺いし、丁寧に対応や見通しをお話いたします。
初回の法律相談は無料、初回接見サービスは最短即日対応です。
まずはお気軽にお電話ください(0120-631-881)。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー