飲酒運転を隠そうと逃亡…これも犯罪に?①

飲酒運転を隠そうと逃亡…これも犯罪に?①

滋賀県大津市のAさんは、仕事から帰宅後、飲酒していました。
ふとAさんは、帰路に買って帰ろうと思っていた日用雑貨を買い忘れて帰ってきてしまったことを思い出しました。
そこでAさんは、「そんなに遠い距離ではないし大丈夫だろう」と思い、飲酒運転をしながらホームセンターに向かいました。
するとその道中で、歩行者Vさんと接触し、けがをさせてしまうという人身事故を起こしてしまいました。
このままでは飲酒運転がばれてしまうと焦ったAさんは、Vさんに声をかけることもなく、そのまま自動車で走り去り、コンビニで水を購入して飲む等をしました。
しかし、15分後、通報を受けて捜査していた滋賀県大津北警察署の警察官により、Aさんは警察署に任意同行され、その後逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・飲酒運転と人身事故

飲酒運転をしてしまうと、その態様によって道路交通法の中の「酒酔い運転」もしくは「酒気帯び運転」に当たる可能性が出てきます。
さらにその飲酒運転中に人身事故を起こしてしまえば、自動車運転処罰法(正式名称「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)の中の「過失運転致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」に当たる可能性が出てきます。

道路交通法65条
1 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

道路交通法117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
3 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

自動車運転処罰法2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
1 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

自動車運転処罰法3条
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。

自動車運転処罰法5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

軽微な態様の飲酒運転での人身事故であった場合には、道路交通法違反+過失運転致死傷罪となることも多いですが、飲酒運転の態様次第では、「正常な運転が困難な状態」もしくは「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」にも関わらず運転して事故を起こしたとして、危険運転致死傷罪となることも考えられます。
さらにこうした人身事故を起こしながら、通報や救護を行わずに現場を立ち去った場合には、ひき逃げとして以下の道路交通法の規定にも反することになります。

道路交通法72条
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

ここに加え、飲酒運転が発覚するのを防ぐために事故現場から立ち去ったような場合には、さらに別の犯罪が成立する可能性があります。
次回の記事で詳しく取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転や人身事故による刑事事件についてもご相談を受け付けています。
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