(事例紹介)ビデオ通話を通じたリモートでの強要未遂罪
~事例~
スマートフォンのビデオ通話機能を使って下半身を写して見せるよう要求したとして、強制わいせつ未遂の疑いで逮捕された兵庫県明石市の男子大学生(20)について、大津地検は7日までに、強要未遂罪に罪名を変更して起訴した。
起訴状などによると、男子大学生は5月上旬、SNS(交流サイト)で知り合った会社員男性(25)のスマホに、男性の下半身の画像を送り、さらに「(インターネット上に)さらしていい?」などのメッセージを送って、ビデオ通話機能で下半身を写して見せるよう要求した、としている。
(※2022年10月7日19:48京都新聞配信記事より引用)
~リモート通話と刑事事件~
今回取り上げた事例では、男子大学生が強要未遂罪の容疑で起訴されたと報道されています。
今回の事例で男子大学生が起訴された容疑である強要未遂罪は、刑法に定められている犯罪です。
刑法第223条(強要罪)
第1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
第3項 前二項の罪の未遂は、罰する。
今回の事例では、ビデオ通話機能によって別の場所にいた被害者とリモート通話中に強要行為をしたとして強要未遂罪の容疑に問われることになったようです。
強要罪は、刑法223条第1項にある通り、被害者に「生命…に対し害を加える旨を告知して脅迫」するか、「暴行を用いる」かして、「義務のないことを行わせ」る犯罪です。
そして、「義務のないことを行わせ」るに至らなかった場合=未遂の場合でも、刑法第223条第3項によって強要未遂罪が成立し、それによって処罰されることになります。
今回取り上げた事例では、男子大学生が男性会社員に対して、男性会社員の下半身の画像を送りインターネットにさらすことをほのめかしてビデオ通話で下半身を見せるように要求したと報道されています。
下半身の画像をインターネット上にさらされるということは、男性会社員の名誉を傷つけられかねないことでしょうから、「…名誉…に対し害を加える旨を告知して脅迫」する行為をしたと疑われているのだと考えられます。
そして、男子大学生から男性会社員に対して義務のないことの要求があり、最終的に男性会社員が男子大学生の要求に答えなかったために、強要罪の結果までは至らなかった=強要未遂罪という容疑になっているのでしょう。
強要罪では、この「害を与える旨を告知」する方法について制限はかけられていません。
ですから、直接被害者と会って伝える以外にも、手紙や電話、メールやアプリのメッセージであっても、相手方に「害を与える旨」が伝われば強要罪の条件に当てはまることになります。
今回の事例のような、ビデオ通話・リモート通話といった形であっても、相手に「害を与える旨」が伝わっており、「義務のないことを行わせ」ようとすれば、それは強要罪の実行に着手したことになります。
昨今では、コロナ禍の影響もあり、以前よりもリモートでの通話や接触をする機会も触れているでしょう。
しかし、それに伴って、リモート通話などを通じたトラブルや刑事事件も出てきています。
リモートで被害者とコンタクトを取っていた場合、捜査を管轄する警察署が全く知らない離れた場所にある警察署になるケースもあります。
今回の事例でも、起訴された男子大学生は兵庫県に住んでいると報道されていますが、起訴した検察庁は大津地検=滋賀県の検察庁となっています。
そういった場合にもスムーズに対応できるよう、全国対応の可能な法律事務所に相談しておくということもメリットがあるかもしれません。
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